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特別論文

G E N E S I S 計画と高温超電導直流ケーブル
∼究極の持続可能な『新エネルギー』の活用について∼

畑   良 輔

“GENESIS Project” and High-Temperature Superconducting (HTS) DC Cable ~Keen Use of Ultimate New Sustainable
Energies~- ─ by Ryosuke Hata ─ The world population has overpassed 6.6 billion in August, 2007, and is
expected to reach 9 to 10 billion by the middle of this century. The International Energy Agency expects that the
world electricity demand will grow by 50% by the year 2030 accordingly. In terms of all primary energies, the growth
of demand between 2000 and 2050 is expected to be as high as 200%. Since greenhouse gas emissions increase
along with the expansion of energy consumption that will bring about environmental degradation, it is pointed out that
the irreversible world catastrophe would suddenly occur before energy resources become depleted. Recently, there
exists an opinion that more nuclear energy that emits no CO2 gas should be used, and today there are a lot of plans
for building nuclear power stations in China and other developing countries in addition to Japan, the U.S. and
Europe. One problem of uranium, however, is that it is only temporarily available and its reserve will last no more
than 60 years. Another serious problem is that once the present generation consumed uranium, future generations
should take care of radioactive wastes during around 100 years of interim storage and more than 10 thousands years
of final storage. These problems show that nuclear energy is not the ultimate solution. Academic people are saying
that making an artificial sun on earth through nuclear fusion should be the solution. However, it is presently
predicted that it will take over centuries to realize artificial sun, meaning that at this point in time nuclear fusion is not
the solution. In this paper, the author strongly insists that, in this impasse, the only ultimate solution that the present-
day engineers can propose is the “GENESIS Project” that combines new solar-oriented recyclable energies such as
photovoltaic power, wind-turbine power or hydraulic power with high-temperature superconducting power cable that
has recently become technologically practical. In addition, the author also describes the importance of applying
PPLP solid DC submarine cable to the international interconnection of electric power systems so as to realize the
“Global Electric Power Network” and finally accomplish the “GENESIS Project”.

1. 緒  言
世界の人口は、2006 年 2 月に 65 億人に達した(22)が、そ ら、原発の燃料資源であるウラニウムも、埋蔵量が 60 年内
れから 1 年半後の 2007 年 8 月には既に 66 億人を突破したと 外の一過性の資源である(1)∼(3)と共に、現代人がそのメ
報道され(65)、今世紀中葉には 90 ∼ 100 億人に達すると云わ リットを享受すると次世代以降の未来の人類は、放射性廃
れている(23)。一方、これに従って世界のエネルギー需要は、 棄物を約 100 年間の中間貯蔵を経て、凡そ 1 万年の長期に
2030 年までに 5 割増加すると、国際エネルギー機関(IEA) 亘る最終貯蔵・管理を行わねばならず(16)、(17)、当面その必
は予想する(15)。電力に限っても、2050 年には現在の 2.6 倍 要性は認識するが、「エネルギー・資源・環境」の最終的
(16)
に増加するとの予想がある 。(全一次エネルギーでは、 な解答とはならない。原子力発電に代る究極のエネルギー
2000 年比 2050 年で、凡そ 2 倍になるものと推定されてい 源として、アカデミーサイドより「核融合」(人工の太陽
る。)この間、気候温暖化ガスは増加の一途を辿り、様々 を地上に作ること)の技術開発が提案されて久しいが、最
の環境悪化現象を生ずると考えると、人類が主要なエネル 近の技術評価をベースとした予想では、技術の完成には
ギー資源である石油や天然ガス(埋蔵量で 40 ∼ 60 年)を 「Over centuries」を必要とし、やはり解決策にはなり得な
消耗し尽す前に、非可逆的なカタストロフィー(破局)を いことが判明してきた。
惹起してしまう危惧を指摘する声もある。そのために、近 本論文では、この様な閉塞的な状況下で、“現代の技術
年炭酸ガス(CO 2 )を排出しないウラニウムを燃料とする 者”が提案し得る唯一の“解”が、太陽電池や風力発電あ
「原子力発電」の増強に努めるべきであるとの声が、日・ るいは水力発電の様な“太陽を起源とする Recyclable(再
米・欧で湧き上がると共に、中国をはじめ開発途上国から 生可能な)新エネルギー”と、今日技術的に十分適用可能
も、多数の原発新設計画が発表されている(16)。しかしなが となった高温超電導直流電力ケーブルの組合せからなる

−( 10 )− GENESIS 計画と高温超電導直流ケーブル ∼究極の持続可能な


『新エネルギー』の活用について∼
『GENESIS 計画』であることを主張し、その歴史的・技術 中に示した、“爆発型増加凾数”に従う様になり、既に
的な蓋然性(もしくは必然性)の下に、須くその実行が進 「ポイント・オブ・ノーリターン(Point of No Return)」
展することの重要性を強調したい。併せて「PPLP ソリッ を通過しており、第 2 次世界大戦終了時(1945 年)には 30
ド DC ・超長距離・大容量・国際連系・海底ケーブル」の 億人に満たなかったものが、本年(2007 年)には 66 億人
必要性についても言及する。 を突破し(22)、(65)、その後は 2013 年に 70 億人を、2045 年に
(注:尚、本論文中「GENESIS 計画」については、引用し は 90 億人を突破すると予想されている(23)。それに伴って、
ていなくても、主として参考文献(1)∼(14)をベースに エネルギーの消費量は、図 2 の通り、正に Skyrocketing 的
使わせて頂いた。) に上昇するが、2030 年には、図 15 の通り、現在の 5 割
アップに上昇することが示されている。
図 3 には、先進国と発展途上国のエネルギーの伸びの実
2. 人口及びエネルギー消費量の増加とエネルギー資源埋蔵量 績が比較して示されているが、先進国に対して発展途上国
図 1 に、西暦元年から近未来までの人口の増加状況を示 では電力の伸びが異常に高く、電力エネルギーの推移がエ
す。18 世紀後半の産業革命時に、図 2 に示す通り、人類が ネルギー問題に大きな影響を与えていることが分る。図 4
化石燃料資源をエネルギーとして活用する能力を身につけ には、「1 人当りの発電設備容量」が示されている(但し、
て以来、人口は飛躍的に増加し始めた。人口増加は、図 1 中国は 2007 年現在 0.45kW /人と急上昇している)。日本
が 1970 年代に到達した「1kW /人(capita)」を“文明国

人口増加(最近のこと!) 人間活動 環境擾乱 はねかえり!

(億人) ポイントオブノーリターン
爆発型増加凾数 文明国(Civilized Countries) 発展途上国(Developing Countries)
100 人口増加 90∼100
カタストロフィ凾数
dy OECD countries Other than OECD
dt
=ay y ∝ eat 第2次大戦後 2.5 9
60
50
産業革命 8
1600年で2倍 Electricity
25 2 7
1216 Electricity
3 6
1950 2050 GDP 6 電力の伸びが
エネルギー
18001900 1.5
0 1000 1600 2000 年(西暦) 5 総使用量を
引張り上げる
200万年前:氷河期6回 → 1万年前に最後の氷河期 → 現在は「間氷期」 Energy
4
1
Energy
ホモサピエンス 経済の拡大と 3
温暖な地球:パラダイス 電力の伸びが一致
50万年前に出現 2
0.5 GDP
人口急増 環境破壊
1
0 0
図1 人口増加とエネルギー使用量の増加及び環境 1970 1980 1990 2000 1970 1980 1990 2000
Year Year
1993年 
149 Source : Mohan Munasinghe – World Energy Council Journal (Dec 1991)
100万バーレル/日
www.oecdtokyo.org
100

火 帆 水 石 ワ 発 火 原 術
250 と 船 車 炭 ッ 電 力 子 人 図3 GDP と総エネルギー及び電力エネルギーの伸びの推移
打 の 製 の ト 器 発 力 230
製 使 粉 部 の ︵ 電 発
石 用 器 分 蒸 シ 所 電
器 ︵ の 使 気 ー 所
を エ 使 用 機 メ ︵ 63
道 利 農ジ 運 用 風 水関 イ ン 石 ガイ 75
200 具 用 耕プ 搬 ︵ 車 車 ギ ス 炭 ソギ

と ︵ のト 用 小 を を リ ︶ の リリ 送
火 北 は︶ に ア 粉 紡 ス 掘 ンス 1kWH 3,600K joule = 860kcal (≒石油0.2 )
の京 じ 動 ジ ひ 績 の 削 ・︶
使原 ま 物 ア き 器 石 は エ 〈C重油1 = 9,840kcal〉
用人 り を ︶ 用 に 炭 じ ン kW/人
︶︵ 利
150 ︵
南 メ 用

使
使

使





91
10 2,500kcal/日の人間は
ア ソ ︵ 用 量 ︵ 50 1日 0.6 で生きている
フ ポ エ 1 ド 工 3kWH相当
リ タ ジ 億 レ 業 1kW/人:文明国への登竜門
カ ミ プ ト ー 産 ・
猿 ア ト ン ク 業 農 米国
100 人 ︶ ︶ ︶ 人 業

発電設備容量/人

◆ ◆ ◆

77
1 ◆ ◆ 香港 シンガポール

度 25

期 農 14 ◆
台湾 韓国
66 ◆
農 業 1石
50 狩 人 家
原 猟


24

0油
日本 ◆
マレーシア
始 26 ・
0換
 1 人 万算 ◆
︵人 人 12 商 ◆ ◆ ◆
1 業 バの
1当 5 7 32
0り
2 4
12 食
ー世 0.1 ◆ タイ 中国 フィリピン
2 4
料 10
レ界 ◆
0消 3 4 6 7
0費 数 数 5 1 紀 1 1 1 1 1
ルの
/エ
◆ インド パキスタン
キ量 1 10 0 0 元 0 6 7 8 9 日ネ
ロ 0 万 0 0 0 0 0 0 0 ・ル ◆ インドネシア ラオス ベトナム
カ 0 年 0 0 0 0 0 0 0 曲ギ
ロ 万 前 年 年 年 年 年 年 年 線ー ネパール ブータン
リ 年 グ消
ー 前 ラ費 0.01

火と家事エネルギー 石炭 石油
フ 1910 1930 1950 1970 1990
薪炭・水車・風車
火の発見
馬力エネルギー 年 度
〔出典:環境省〕

図2 世界のエネルギー消費量の歴史的推移 図4 日本の発電設備出力の推移とアジア各国の発電設備出力

2 0 0 8 年 1 月 ・ SEI テクニカルレビュー ・ 第 172 号 −( 11 )−


への登竜門”とすれば、いかなる国の人々も、少なくとも アジア・
大洋州 欧州 アフリカ・ 中南米
1.8% (2001年末) 中東 2.2% (2001年末)
北米 4.2%
1kW /人のエネルギーを享受する権利があると云える。こ 6.1% 欧州
5.8%
アジア・太平州
旧ソ連 12.7% 29.7%
の場合、現在 55 基の原子力発電所で全電力量の 1/3 強の発 6.2%
アフリカ
電を行いつつ、2.5 億 kW という世界第 3 位の総発電設備を 7.3%
石油 石炭
1兆500億バレル 9,845億トン
可採年数40.3年 可採年数216年
有する日本を基準にとって比較してみると、(66 億人× 中南米
旧ソ連
9.1%
中東 23.4%
1kW/人)/ 2.5 億 kW ≒ 26 となり、GDP 世界第 2 位の日本 65.3% 北米
26.2%
並の国が、世界に 26 ゾーン存在することになる。人類に
中南米 欧州 欧州
とって人口問題は、今後とも最大の課題の一つであり続け 4.6% 3.1% (2001年末) 中南米 3.8% (2001年1月)
北米
6.5%
4.9%
ると考えられる。 アフリカ 旧ソ連
旧ソ連
30.2%
7.2% 36.2% アフリカ
エネルギーの観点から、「分散電源と分散消費」が未来 アジア・ 17.9%
天然ガス ウラン
太平州
を変え得るとの意見も根強く存在するが、図 5 に示す通り、 7.9%
155兆m3
可採年数61.9年
439万トン
可採年数61年

100 万人を超すメガロポリスは世界で急増しており、又既
北米
17.9%
存の大都市でも、日本では遂に東京、大阪、名古屋の三大 中東
アジア・太平州
23.8%
36.1%
巨大都市圏の人口が日本の総人口の 50 %を今年(2007 年) 〔出典:「OECD/NEA,IAEA」、
「BP統計」〕

突破した(18)様に、むしろ都市の巨大化が益々進展している
図6 世界のエネルギー資源埋蔵量
のが実情である。従って、これらからも「巨大発電+巨大
電力伝送+巨大電力消費」を維持してゆかねば、現代文明
を支えてゆけないのが実情である。分散電源としての風力
発電は、2006 年の世界の累計で、7,400 万 kW(1GW 原発 を有しているが、それ以外は 40 ∼ 60 年内外の可採年数し
(19)
70 基分) 、一方太陽電池は、2005 年末現在で、370 万 か無く、いずれも「一過性の資源」であるとの認識は重要
(20)
kW(1GW 原発 3.7 基分) と、年々その重要性を高めてき である。しかも可採年数算出時の分母は、人口に大きく依
ていることは事実であるが、「分散利用」に限定して考え 存しており、可採年数が減少することはあっても、大きく
ると、人類のエネルギーの究極の福音とはならず、あくま 伸びる理論的根拠が無いことの認識も更に重要である。
で分散利用は、“初期のステージの新エネルギーの活用”、 〔第 7 章結言の後の注書Ⅱ参照〕
ないしは“補完的な活用”と考えるべきである。 一方、図 7 に示す通り、現代は「メタルから非メタル化
への時代」と云える( 3 )。(この図では“鉄系構築物”の
“CFRP(Carbon-Fiber Reinforcement Plastics :炭素繊維強
化プラスチック)”化(62)等を除外している。)エレクトロニ
1000
1000 クスの世界が「真空管(金属電極)」から「Si(シリコン)
450 半導体」へ、通信の世界が「Cu(銅)線」から「光ファイ
400 400 バ(ガラス)」の世界へ大きく「非メタル化」を遂げたが、
(大都市数)

350 今電力エネルギー伝送の世界でも、「Cu(銅)導体電力
*人口と都市の分散は可能か?
300 *分散電源は有効か? ケーブル」の代替技術として「セラミックス中心の高温超
250 (必要であっても十分ではない)
220 電導(HTS)電力ケーブル」が立上りつつあり(24)∼(27)、又、
200 (1999年)
150
100
50 12 ワイドバンドギャップ 現在 近未来 将来の見通し
2 3 35 SEI 半導体(SiC/GaN)
半導 ン)

0 架空線 自動車用 W/H



Al(アルミ)
1800 1850 1900 1950 2000 2050(年) *エネルギー
i シリ

イ スミアルタフ
自動車用 W/H
S(

ロンドン (パリ) 先進国首都 6大都市 (現在) ン (省エネ)


江戸 NY、シカゴ (日本)等 フ 電力線(架空線) *省資源


ルギ
クス


ラ NT
大阪 発展途上国 特にアジアで (C (軽量・コンパクト)
トロニ

ボン
エネ

機器配電線
  カー
*環境
巨大都市多数発生 素
エレク

各種導体,, W/H
材 エネルギー
︵ PLC 3R
非メタル化
図5 世界の大都市数(人口 100 万以上)の過去・現在及び未来推定(1800 ∼ 2050) 400 銅
通信 ADSL ・Reduction
年 ・Reuse
エネルギー
の セラ HTS AC/DCケーブル
・Recycle
通信 ミ
歴 (H ッ ク
TS ス モーター
史 ) (*バイオ関係)

︶ NMR

トランス Separation
超電導 CNT アルミ 銅 *ユビキタス
一方、これらのエネルギーを支えている主要“エネル 超電導 ∞(200) 0.5∼10 0.6 1
*安心(*快適)
光部品 4S
重 量 0.9 0.2 0.3 1 通信
ギー資源”としては、今日いわゆる化石燃料資源の“石油”
、 温 度 -196℃ 常温 常温 常温
光ファイバ
・Safety
・Security
メリット
200 2.5∼50 2 1 エネルギー ・Stability
“天然ガス”及び“石炭”と、非化石燃料資源ではあるが 係数
光レーザー ・Sustainability
引張
1 200 1 1
強度
“ウラニウム”がある。これらのエネルギー資源埋蔵量を
示したのが、図 6 である(21)。石炭こそ 200 年強の可採年数 図 7 「メタル」から「非メタル」へ

−( 12 )− GENESIS 計画と高温超電導直流ケーブル ∼究極の持続可能な


『新エネルギー』の活用について∼
同じく電力エネルギー活用の最大用途の一つであるモー 本年公表された IPCC(Intergovernmental Panel on Climate
ターに於いても、従来の「Cu 線」から「セラミックスの Change :気候変動に関する政府間パネル)第 4 次報告の指
(28)
HTS モーター」への動きが認められ 、やはりエネルギー 摘している(30)様に、今世紀末に向けて地球の環境は劇的に
の分野でも、「メタルの非メタル化」は不可避の動きと考 悪化してゆく可能性が高いことが示されている。図 9 に、
える。 その一例を示す(31)。
実情としては、電力エネルギー伝送用電力ケーブルや 図 10 に、近代文明を中心的に支える(OECD 各国の凡
モーターは、未だに主力として“Cu 線”を大量に使用して そ 1/3 の CO 2 排出量を担う)電力エネルギーの発電システ
いる。OECD(先進)各国の今日の電力インフラが、Cu 製 ム別 CO2 の排出量を示す(21)。現在発電の主力を占める石炭、
品で成り立っており、BRICs をはじめとして、大人口を抱 石油、LNG(Liquefied Natural Gas :((液化))天然ガス)
える発展途上国が同じく Cu 製品を中心にして電力エネル の、所謂火力発電システムが排出する CO 2 の量が、原子力
ギーインフラを構築してゆくとすれば、早晩 Cu 資源は枯 発電と太陽起源の“新エネルギー”に比して圧倒的に高い
渇せざるを得ない。又、枯渇を迎える以前に、条件の良い ことが分る。従って、今世紀の喫緊の課題である地球温暖
銅鉱山は掘り尽くされてしまうから、環境上問題の多い新 化ガス(Greenhouse Gas)の CO 2 排出量を削減するには、
規鉱床・鉱山の活用に入らざるを得なくなるので、この観 可及的速やかに、「石炭火力→石油火力→ LNG 火力→原発
点から可及的速やかに電力インフラの主力材料である Cu
(銅)からの脱却、すなわち「メタルの非メタル化」を推
進してゆくことが、むしろ長期展望上、益々重要になって
くると言わざるを得ない。現に発展著しい中国での Cu 材
料の消費の昂進は前例の無いものであり、Cu 価の超高騰状
況の定常化を招いている(29)。

3. エネルギー消費増加と「環境」問題
前章で産業革命後の人口及びエネルギー消費の急上昇に
ついて述べた。図 8 は、それに伴って過去 200 年間に排出
された地球温暖化ガスの内、CO 2 の排出量の推移を示して
いる(21)。CO 2 排出量の増加は、当然ながら図 2 のエネル
ギー消費の増大に一致しており、特に第 2 次世界大戦後は、
図 1 で 示 し た “ 爆 発 型 増 加 凾 数 ” で 、“ Point of No
Return”を越している。今日では、全世界で、カーボン
(C)に換算して年間約 60 億トンの炭酸ガス(CO2)が排出
され、約半量の 30 億トンが太陽エネルギーに基づく“光合
成”で酸素に還元されているが、残り半量の 30 億トンは大
日本経済新聞(2007.07.22)
気中に残存し、年々蓄積されてゆく状況を現出している(21)。
図9 地球温暖化による深刻な被害
その結果、既に地球規模の環境異変が生じつつある(31)が、

ガスフレアリング 太陽光 53.4


(炭素換算百万t) ■ 燃 料
セメント生産
水 力 11.3 ■ 設備・運用
7,000 ソ連崩壊
地 熱 15
6,000 第2次石油危機
風 力 29.5
ガス系
5,000 第1次石油危機 原子力(PWR) 35.3

4,000 原子力(BWR) 28.4


407.5 111.3
石油系 LNG複合
3,000 第2次世界大戦 478 129.6
LNG気力
世界恐慌 704.3 37.8
2,000 石油火力
第1次世界大戦 886.8 88.4
1,000 石炭系 石炭火力
0 200 400 600 800 1,000 1,200
0
1800産業革命
1820 1840 1860 1880 1900 1920 1940 1960 1980 2000 CO2排出量(g-CO2/kWh)
年 〔出典:OHM(2004.11月号)

図8 過去 200 年間における CO2 排出量の推移 図 10 各種発電システムの CO2 排出量

2 0 0 8 年 1 月 ・ SEI テクニカルレビュー ・ 第 172 号 −( 13 )−


and/or 新エネルギー」へ移行してゆくことが必要であると 2 倍にあたる 6 倍の増加を示した(36)、(37)。人間の生存に最低
されている。 限必要とされる 50 l /日を下回る国が、アジアとアフリカ
2005 年 2 月 16 日に発効した京都議定書によれば、日本は、 を中心に約 60 カ国存在し(37)、今後地球温暖化の進展と共
2008 ∼ 2012 年の平均で 1990 年比 6 %の CO 2 削減が求めら に枯渇と大規模洪水地域の両極端が出現するとの IPCC の
れており、それに基づいて日本政府は国内で発生する CO 2 予想もある。産油国では新エネルギーを活用して、海水の
(21)
を 0.5 %削減する計画を立案した 。その中で電力会社は 大規模な淡水化事業を拡大してゆく計画もある(38)、(39)。
自主規制として、表 1 の通り、「原単位 20 %の CO 2 削減」 一方、CO 2 排出削減のために、トウモロコシ等穀物を主
(1kWh 当りの CO 2 排出量を 425g から 340g に減少させるこ 原料とする「バイオマス燃料」も急増しており(40)、この面
と)を定めたが、その大半は原発の新設と稼働率アップに から食料在庫率が減少し、又農業用水の必要量が増大する
(21)
期待するものである 。日本の国としての CO2 削減の基本 等のマイナスの効果も増大する恐れがあることが指摘され
“原発の推進”が上げられている(32)、
政策としても、 (33)
。又、 ている(40)、(64)。
原発復権の動きは全世界的であり、例えば米国では 30 基超
の新設計画があり(34)、全世界では中国、インド等を中心に
約 100 基(34)∼ 200 基(35) の原発新設計画があると云われて
4. 原発の役割と課題
いる。しかしながら、図 6 の、ウラニウムの可採年数(略 表 2 は、現在稼働中の原発の出力上位 10 位までの各国別
60 年)から見れば、当面の原発エネルギーの必要性は十分 基数と、稼働原発総数(429 基)を示している(33)。例えば、
に認めるものの、これが究極的な「エネルギー・資源・環 最多の 103 基を有する米国では総発電量の 20 %を、国策と
境の解決策」になり得るかという観点から問われれば、次 して原子力発電を推進してきたフランスでは 59 基で 78 %
章で詳述するが、否定的な答えを返さざるを得ない。 を、55 基を有する日本では 30 ∼ 40 %を原子力発電で賄っ
人口の増大と環境問題は、世界の食料事情も悪化させつ ており(41)、又躍進著しい中国やインドでは各々数 10 基の
つある。1980 年代には世界の穀物在庫率は 35 %を越えて 新設計画が存在し、世界全体での原発新設計画基数は 200
いたが、2005 年には 17.7 %に低下したと報告されている(23)。 を越すと云われている(35)。今日、原子力発電エネルギーを
近年は、気候温暖化現象で米国、豪州、南西欧州、北西中 無視しては世界を語れない(41)。又、図 10 で示される通り、
国等穀倉地帯の渇水状態が恒常化して、穀物の収穫率の低 CO 2 排出の観点から眺めれば、原発はクリーンなエネル
下が生じつつある。又、水資源についても「石油の世紀」 ギー源と云われており、「環境の 21 世紀」の切り札として、
と云われた二十世紀の 100 年間で、水の需要は人口増加の 現代は“原子力ルネッサンス”と称されることがある(41)。
しかしながら、図 6 の“資源の可採年数”から眺めれば、
ウラニウムと云えども一過性の資源と云わざるを得ず(21)、
表1 電力産業の CO2 排出減自主目標(1996 年策定)
事実既にウラニウム資源の争奪には厳しいものが認められ
27% ており(35)、原発が今世紀も含めて将来の人類にとって“究
2002年
(350百万ton-CO2/年)
電力産業の排出CO2量 極のエネルギー資源”となり得るかという観点からは否定
32.4%
2003年
(363百万ton-CO2/年) 的にならざるを得ない。表 3 は、図 4 から(日本が 1970
CO2排出原単位
(1990→2010)20%減
CO2削減目標
 1kWh(需要家使用量)当りの
 CO2排出量を425gから340gにする 表2 世界の原発開発の状況
2006年末時点、原産協調べ、
電力使用量の伸び 出力合計順、単位:基
(1990→2010)37%
電力の伸びとCO2排出量 CO2排出量 (国・地域) 運転中 建設中 計画中
(1.37×0.8=1.096→10%増) 1 米国 103
「37%増」を「10%増」に抑える
2 フランス 59 1
▲3%/基×5基=▲15%
(1)原発新設5基 (1基当り 7∼8百万ton-CO2/年削減) 3 日本 55 3 11

20    ▲ 3% 4 ロシア 27 4 5
% (2)原発利用率up (国内53基 各3%up*1) 5 ドイツ 17

減 (3)火力発電の効率up   ▲1% 6 韓国 20 4 4

対 (4)京都メカニズム活用    ▲ 1% 7 カナダ 18
策 (380万ton-CO2/年相当) 8 ウクライナ 15 2
合  計    ▲20% 9 英国 19
10 スウェーデン 10
*1 発電量 CO2原単位
原発効率3%upで1%の
原 発 30% 0 石炭火力を停止できる
 3倍×▲1%=▲3% 稼動原発総数 429基
石炭火力 20% 平均値の3倍
日本経済新聞(2007.04.03)

−( 14 )− GENESIS 計画と高温超電導直流ケーブル ∼究極の持続可能な


『新エネルギー』の活用について∼
表3 世界の電力エネルギー規模(中国の事情と原発) 工
業 (寿命判定の分る
“マーカー”
/“モニター”
付き製品を!)
〈電力産業≒1/3 CO2発生; 1kW/人(日本 1970年代初)が文明国の登竜門〉 製 更新 産業廃棄物処理

 世界人口(2007年)= 66億人;日本の発電設備容量= 2.5億kW; 工業製品 n年の寿命

 標準原発= 100万kW =1GW 〉 に

総 設計 マイナー則
寿命延長(延命)
(3R)

世界中文明国 て (繰返し疲労等)
(66億人×1kW/人)÷2.5億kW= 26.5 アルレニウスの式 寿命判断(余寿命)
(日本がいくら生ずるか?) 寿
命 材料 分部更新
世界中文明国 が 試験と判断(新/旧組合せ)
(66億人×1kW/人)÷9億kW= 7.3 あ [設計者/製造者] [運転・保守/更新者]
(アメリカがいくら生ずるか?) る モニター
世代交代
全電力を原発で賄うとしたら? (66億人×1kW/人)÷1GW=6,600GW/1GW= 6,600基
(現代人のみ利益を享受)
工学的に未成熟
原子力発電所 ∼2020年 更新??
日本並みに35%が原発としたら? 6,600基×0.35= 2,310基 (現在 400基強)(*1)
(30∼40年寿命) 日本の55基 (New)
(日本 2kW/人) 大半寿命に到達
中国13億人の1人当り電力は? 6.22億kW/13億人= 0.48kW/人 (米国 3kW/人)
放射性 未来の世代へ
世代交代 1万年保管
13億人×1kW/人= 13億kW   原発 1,300基分 廃棄物 負の遺産
中国人すべてが文明化したら? (産業界/電力会社)

1,300×0.35= 455基 誰が責任を 寿命延長


同上 35%を 世界の原発 3.85億kW 持って処理するか?
原発に頼ったとしたら? (中国の現状10基) 約1/4が米国で103基

*1 2006年末 429基 387GW発電
図 11 原子力発電所の延命策 −工業製品の寿命推定工学の重要性−

年代に到達した)“1kW /人”を一応文明への登竜門とし
た時、隣国中国と世界全体を例にとって、原発によるエネ 持ちつつ原発の慎重な推進”を求める見解を示している(44)。
ルギー供給の可能性を試算したものである。現在の 400 基 尚、2007 年 7 月 16 日の新潟県中越沖地震では、世界最大
超で 60 年内外の可採年数しか無いというウラニウム資源に の原発・発電電力を誇る“柏崎刈羽原発基地”の 6 号原子
依存しているだけでは、中国一国での 400 基超から世界全 炉から、微量の放射性物質を含む水が漏れる等、約 50 件(48)
体の 6,000 基超まで、どの様な数字をとっても Feasible とは (∼ 2,900 件(58))のトラブルが生じたことが報ぜられた。4
言い難く、原発は極めて短期的な一過性エネルギー資源で 基の原発が計画通り自動停止したことを含めて、むしろ原
あることは、よくよく認識しておく必要がある。又、チェ 発が本質的に地震に耐え得た“大丈夫な点”を報道すべき
ルノブイリの原発事故の例を引き合いに出すまでなく、 であるとの見解(49)と共に、そもそも殆どすべての国土が活
様々の観点から、安全性の確保の配慮が必要となる。更に、 断層からなる地震列島日本に、55 基という多数の原発を所
バックエンド対策として、放射性廃棄物の処理については、 有し得るのかどうかとの根本的な問いかけ(50)、(51)もあり、
通常それら放射性廃棄物をガラス固化して 50 ∼ 100 年間監 今後官民をあげて、“ナショナルプロジェクト”として、
視し、それで異常が認められない場合、以後地下深くに移 単基発電容量 170 ∼ 180 万 kW と云う超々大型次世代軽水
設して約 1 万年に亘って保管せねばならず、「利用世代とそ 炉原発を開発し、世界標準化してゆこうとしている日本の
の利用期間」と「後世の長期に亘る保管管理の必要性」の 流れ(52)に対して、一石を投じることになった。
(42)
アンバランスについては十分留意しておく必要がある 。 以上をとりまとめると、図 15 の通りになる。すなわち
更にもう一つ指摘しておかなければないない点は、「原発 恣意的に止められない“急激な人口増加”の下で、エネル
炉の寿命とその保守及び更新」の課題である。原発先進国 ギー・資源需要が急伸する中、21 世紀の人類は、前世紀の
である米国の 103 基、日本の 55 基の原発は、“工学上の能 人類が残した負の遺産の処理や、既設インフラの維持・更
力”より設計寿命を凡そ 30 ∼ 40 年としてきた。従って、 新のために必要な技術開発を含めて、未曾有の大エネル
原発建設の早かった米国では既に、又日本でも 2020 ∼
2030 年頃には、殆どの原発が設計寿命に到達することにな
る。今の所、これら設計寿命を超過した原発炉について、
単基容量 エネルギーの
更新の目途は全く立っておらず、米国でも日本でも“寿命延 138万kW(*) 過大集中リスク大
原子力 (1)Recyclable
発電所の
長”しか手段が無いのが実情であり、事実米国では 2000 年 30年→60年? 更新・増設困難   (非枯渇)
老朽化
(2)Clean & Green
に初めて既設原発の寿命を更に 20 年延長する決定を下し(43)、 火 力:同上 環境問題
(3)安全
以後次々に延命の処置を講じてきている。しかながら、図 京都議定書 (4)電力貯蔵可能
(環境税etc) (5)安定(発電)価格
11 に示す通り、寿命延長の場合、30 ∼ 40 年前の工学に基
ウラン・石炭   (1∼5¢/kWH)
づいて設計され、当時の器材を用いて建設された原発を、 エネルギー資源 (6)既存技術適用可能
コスト高騰 石油・天然ガス → 枯渇
どの様な工学的基準と手段で調査し、どの様な試験を実施 DC 送電
して、修復・延命・更新の可能性を判断し、以後どの様に 極北僻地大河川水力発電
ベース電力エネルギー資源として
工学的モニターを続けてゆけばよいのか云々は、極めて重 活用可能なだけ活用することが肝要! ( 太陽起源の新エネルギー )
大且つ慎重な検討を要する事項である。内閣府・経済産業 (*Note: 志賀原発=135万kW; 浜岡原発5号=138万kW; 東通(東電)原発1号=138.5万kW; 大間(電発)原発=138.3万kW)

省が 2005 年 12 月に実施した「エネルギーに関する世論調
査」の結果でも、日本国民の大半は、
“事故に対する不安を 図 12 なぜ新エネルギー・水力発電の長距離送電か?

2 0 0 8 年 1 月 ・ SEI テクニカルレビュー ・ 第 172 号 −( 15 )−


ギー消費の事態に対処するための、正に『新技術開発』を えるエネルギー資源になり得るのか?と云うことであるが、
緊急に実行し、確実にその成果を上げてゆかなければなら これについては、次章の表 4 に示す通り、理論上は殆ど無
ない状態に追い込まれている。そのためには、『持続可能 尽蔵に近いエネルギー資源になり得る(5)。図 13 は、過去
性(Sustainability)』の観点から、「未来の世紀の観点に (数百万年前)から近未来(2100 年頃)までの、「人類のエ
立った(Out → In の)判断」が今こそ必要となる。その時 ネルギー消費の歴史と未来予想」を示したものである。既
中心になる Concept は、図 12 及び図 14 に示される通り、
“太陽起源の新エネルギー”である太陽電池、風力発電の
活用、及び水力発電エネルギー(47)、中でも“大河川の水 太陽

(石油換算100万バレル/日)
IC,LSI エネルギー
力発電エネルギー”の活用である(21)(45)。 250 TV・トランジスタ・

世界のエネルギー消費量
原子力発電所
エネルギー
200
ギャップ
ガソリン・エンジン、
150
5. 究極のエネルギー資源は何であるべきか 火力発電所、石油の掘削
天然
ガス
100 道具と火の使用 ワットの
第 2 章では、化石燃料資源もウラニウムも、資源埋蔵量 運搬用に 蒸気機関 石油
石炭
(又は可採年数)から見て一過性であることを指摘した。 50 動物を利用
産業革命 原子力

第 3 章では、エネルギー消費の無制限の増加は、環境面か 0 薪など
B.C. B.C. A.D. A.D. A.D. A.D.
ら(資源枯渇前に)、人類を含む全生命体に、予期せぬ突 ∼数100万 1000 1000 1700 2000 2100

然の Catastrophe(大災厄又は破局)を惹起する可能性が高 火の 火と家畜
薪炭・水車・風車 石炭 石油
太陽
発見  エネルギー エネルギー
いことを述べた。第 4 章では、環境に優しい筈の原発が、 ∼100万年 ∼1万年 ∼500年 ∼200年 ∼40年
資源埋蔵量制限や爆発的な基数の増大による放射性廃棄物 Source: World Population Prospects 1990. Energy Statics Yearbook

の処理上の問題、あるいは原発の寿命とその延長の技術的
図 13 人類のエネルギー消費の歴史
課題等で“究極の解決策”にはなり得ず、当面の原発の重
要性は否定できないものの、やはり原発は“一過性の技術”
であることを述べた。
量が十分であること
これらに代って、未来の人類を“エネルギー・資源・環 Sustainable(継続性) 太
陽 逐次増容量が可能であること
境”面から救いうる“究極のアイデア”として、アカデ クリーン&グリーン 起

ミーサイドから提案させているのが、『核融合技術』であ 利用技術が確立しており
不偏(普遍)性 エネルギー シンプルでクリーン&グリーン
る。これは、「人工の小太陽を地上に造ろう」と云うもの であること
で、実現できればアイデア通り、“究極の人類救済案”と
なり得る。しかしながら、今日の Sincere な評価では、完成 新エネルギー[太陽発電/風力発電/(水力発電)]

までに“Over centuries”を要すると云う。これは実は、
< 科学者・技術者からの 唯一のRealisticな提案 > 即
「核融合技術が人類の救済案にはなり得ない」ことと同義 実
太陽を 行
である。それでは、我々現代の技術者サイドから、これら From 核融合 To GENESIS計画 へ
地上に作る !
に代わりうる Feasible(実現可能)で現実的な“究極の人 (高温超電導直流ケーブル)

類救済案”を提示できないのであろうか?図 1、図 2、図 (文明は維持したまま、産業革命以前のエネルギー利用に戻ろう)

5、図 8 及び図 13 は、何を意味するものであろうか? 歴


図 14 将来の人類と地球にとって究極的なエネルギー
史に学ぶとすれば、『産業革命以前』の人類は、地上の生
命体の正に一種類として、他の生命体と同様に、「太陽か
ら与えられるエネルギーの範囲」(より精確に云えば、「生
CO2増加 → 地球温暖化
インフラの寿命問題
成される時間と消費される時間のいずれも非常に短い(1 環境問題
原子力発電所 30∼40年
年以内又は数年以内)の太陽起源のエネルギー」(21))の 電力設備 の寿命 13 (千万バレル/日)
12
範囲内で、(実に謙虚に)生きてきたことを意味する。現 メンテナンス→延命等 石
11
10
未来の世代の 又は 油 9
代用語で表現するならば、“Recyclable(再生可能)で 視点に立った
更 新 8
判断 7∼
0∼ (年)
Sustainable(持続可能)”且つ“Clean で Green”なエネル 2002 2010 2020 2030

エネルギー・資源需要増加
ギー・資源のみに依存して生きてきたからこそ、数百万年 Sustainability
新技術開発必須 120
(億人)

に亘って人類は生き長らえてきたのである(45)。図 14 は、 100
(1)技術者 と 産業 の 維持 人 80
60

「核融合技術」にではなくて、この Recyclable で Sustainable (2)増大する人口 と 40
20
* 政策    エネルギー対策
な“太陽起源の新エネルギー”に頼ることが重要となるメ * 国のサポート
0
1950 1970 1995 2025 2050 2100 2150
(年)

(3)環境対策 人口増大
カニズムを、より分かり易くとりまとめたものである。こ
の場合の唯一の疑問は、“新エネルギー”は十分な量を賄 図 15 技術の継承と技術開発の必要性

−( 16 )− GENESIS 計画と高温超電導直流ケーブル ∼究極の持続可能な


『新エネルギー』の活用について∼
「新エネルギー」の代表としての“太陽光発電”につい
資 化石燃料資源も ては、図 17 に示す通り、年 5 割の増加を示しており、世
  ウラニウムも超短寿命の
源 “一過性”の資源である。 界の累積導入量は、2005 年末で約 370 万 kW であるが、こ
のまま一気に採用が拡大しないのは、発電コストが 46 円/
太陽エネルギー kWh と未だに高価なことにある(46)。これは、今後のエコイ
ノベーション(環境問題に対応する技術革新)に期待する
超長期間の と共に、図 15 及び図 32 で示すように、「未来の視点に立
“光合成”効果
脚した判断」に基づき、むしろ政策的に解決してゆくべき
環 CO2の固定とO2の発生
課題である。

境 一方、“風力発電”については、図 18 に示す通り、年率
超短期間に化石燃料 70 %を超す伸び率で急増してきており、2006 年末までの累
資源を消費した場合
積では、原発 70 基分の 7,400 万 kW に達している(19)。これ
は発電コストが火力発電並の 7 ∼ 8 円/kWh を既に達成して
*地球温暖化
いるからであるが、今後大幅な増加を望むとすれば、更に
*短期間に回復不可能!
大型化し強度を向上させる必要性が指摘されている。但し、
風力発電には適地が存在し、太陽電池程“不偏性”が無い
図 16 CO2 の固定と O2 の発生
点は心に留めておく必要がある。
“太陽電池”、“風力発電”以外に有力な「新エネルギー
資源」としては“水力発電”があり(47)、これらの発電技
述の通り、最早有効なエネルギー資源は枯渇してゆくこと 術は、今後益々技術アップさせ、より効率的且つ安価に
が分かっており、この面からも大局的には必然的に、「太 してゆく必要があるものの、“現に実用化”されている
陽起源の新エネルギーの活用」に追い込まれてゆかざるを “Developed Technology”と見做し得る点も又重要である。
得ないし、又環境面からの Catastrophe を惹起させないため これら新エネルギー資源を活用した発電技術に、『大容
には、積極的にこの新エネルギーを活用してゆかざるを得 量・超長距離・電力伝送技術』が重なって実用化されれば、
ないのである。又、図 16 に示す様に、想像を絶する長期 次章で述べる通り、「太陽起源の新エネルギー資源」が、
間(20 億年以上)に亘って太陽エネルギーが CO2 を固定化 初めて『人類救済の究極的な Proposal(提案)』となり得
して蓄積し、O 2 (酸素)を発生し続けることによって、今 る。我々現代の技術者は、“高温超電導(High Temperature
日の O 2 を含む大気成分が形成されてきたことを考えると、
こられの化石エネルギーを、人類が一気に放出することに
よって“平衡を乱す”時、その復旧には途方も無く長い時 (%)
14
間を要するか、あるいは“非可逆的”に、人類は、(資源 インド
" ! 12
枯渇以前に)一気に「Catastrophe(破局)」へ突入する可
!
10
能性の考察も又不可避であると考える(21)、(45)。〔第 7 章結言 5
単年度シェア 8
の後の注書Ⅱ参照〕 (右目盛り) 中国
6
"
& 4
(万キロワット) " # $
$ $ & 日本
8000 & & %  ! 2
'  
150   !
7000  0
万キロワット
6000
100 日本 風力発電
5000 導入量
(左目盛り)
ドイツ 4000

50 3000

米国 2000

1000
0
2001年 02 03 04 05
0
(注)国際エネルギー機関などのデータを基に資源 99年 00 01 02 03 04 05 06
   エネルギー庁が作成 (丸数字は順位、三菱重工まとめ)
日本経済新聞(2007.07.06) 朝日新聞(2007.07.06)

図 17 太陽光発電の累計導入量 図 18 世界の風力発電で導入量(累計)とアジアの主な国の単年度シェア

2 0 0 8 年 1 月 ・ SEI テクニカルレビュー ・ 第 172 号 −( 17 )−


Superconducting、略して“HTS”)直流(DC)電力ケーブ G lobal E nergy N etwork E quipped with S olar cells and
ル”を開発することによって、今やっとこの提案が I nternational S uperconductor grids
    
“Feasible”であると伝い得る段階に持ち込むことに成功し         

       


た。その結果、次章で述べる『GENESIS 計画(新ネエル      

  ! "    #   


ギー+ HTS DC ケーブル)』が、見果てぬ“夢(Dream)” HTS Cable Grid    #    

から一歩一歩建設を進めてゆくべき“現実のもの(Reality)
”     $  %&" 

GENESIS計画の実現に向けて
となり、我々“現代の技術者”こそが、“From 核融合技 Electricity イギリス アジア大陸 アメリカ大陸
ヨーロッパ大陸

術 to GENESIS 計画”の合言葉をもって、遂に『人類救済 日本
一般住宅

の究極的な提案』を、今日広く世界に向かって宣言できる 太陽電池
送電所
カントリー
ネットワーク
グローバル
ネットワーク
アレイ
送電ケーブル GENESIS計画
Stage に立ち至ったのである。
〔第 7 章結言の後の注書Ⅰ参照〕  太陽電池パネル 太陽電池と超電導ケーブルによる
世界的太陽光発電システム
ローカルネットワーク

図 19 GENESIS Project
6. 「GENESIS 計画」と HTS DC ケーブル
「 G E N E S I S 」 と は 、 図 1 9 に 示 し た 通 り 、“ G l o b a l
Energy Network Equipped with Solar cells and International
Superconductor grids”の頭文字をとったもので、旧約聖書 800km
の“創世記”を意味する言葉である。表 4 は、「GENESIS 800km 800
km
計画」を提唱された桑野幸徳博士(元三洋電機㈱社長)の
800km
計算された、“世界のエネルギー消費予想と太陽電池の必
要面積”の検討結果である (5)。太陽エネルギーは、効率
10 %の太陽電池で発電して電力エネルギーに変換して用い 800km

800 800km
るとしても、極めて膨大なものであり、現実的な面積(約 km
800km
800km × 800km の正方形相当)で、全人類が必要とするエ
ネルギーを賄えることが示されている。これを分り易く図
示すると、図 20 の通りとなり、その必要総面積は“現存 図 20 太陽電池 Farm に必要な面積:砂漠の 4%(800km × 800km)

表4 世界のエネルギー消費予測と太陽電池システムエリア換算

計算に用いた日射条件
○日射強度
  最大 860kcal/m2h(=1.00kW/m2)
  平均 610kcal/m2h(=0.71kW/m2)
○日射時間
  年間日照日数 329D (年間日数の90%を見込む)
  有効日照時間 8h/D (平均日射強度換算)
○年間日射量
  1.606×106kcal/m2・y
  平均日射強度×年間日射時間
   =610kcal/m2・h×329D/y×8h/D
   =1.606×106kcal/m2y

1次エネルギー シ 原油換算 必要太陽電池 システムエリア


消費量 ス 発 占有率を
テ 電 係数 システムエリア
(原油換算) 50%として
ム 効 (kl/m2・y) (×1010m2)
(×1010kl/y) 効 果 余裕を見込む場合
率 単純 発電用 全面積 (×1010m2)
全消費量 (発電分) (熱源分) (%) (%) (発電分) (熱源分)
換算 原油換算 広さ: 広さ:
年 (A) (A1) (A2) (η) (α) (B1) (B2) (A1/B2) (A2/B1) km四方 km四方
0.275 53.07 106.14
2000 1.100 0.825 10 35 0.01736 0.04960 5.54 47.54
(25%) (729) (1030)

1.387 0.416 0.971 10 35 0.01736 0.04960 8.38 55.93 64.32 128.6


2010
(30%) (802) (1134)

3.496 1.224 2.272 15 40 0.02604 0.06510 18.79 87.27 106.06 212.12


2050
(35%) (1030) (1456)
11.116 4.446 6.670 15 50 0.02604 0.05208 85.38 256.13 341.50 683.0
2100
(40%) (1848) (2613)
1次エネルギー消費量: OECD/IEA “International Energy Outlook 1966 Edition”より
2050年、2100年: 2000年∼2010年の年平均伸び率(2.4%/年)で伸びると想定 桑野幸徳著「新・太陽電池を使いこなす」(講談社)

−( 18 )− GENESIS 計画と高温超電導直流ケーブル ∼究極の持続可能な


『新エネルギー』の活用について∼
一 500∼1,000kV
(500万から100万ボルト)
基 遠
従 100万 隔 1,000∼2,000A
20 来 kw の
の = 海 変電所

紀 原 1Gw 岸
発 級 沿 (海)
い 地中送電
発 (1GW原発)
電 (山上/丘陸に 50∼100m高の架空線鉄塔 )

太 数10基 off 数100∼数kV 海底ケーブル


500∼1,000kV
架空線
陽 か | 発電電圧 (1kV×100万A)
︵ ら shore
集電所
風 100基 (沖合)
21 力 超 や
(電圧アップ)

世 ︶ で 丘
(海)
直流ケーブル (砂漠・太陽発電基地)
紀 発 1Gw 陵 (1kV×100万A)
電 地
級 や (洋上(沖合)風力発電基地) 従来の銅/アルミ電力ケーブルでは
風力発電 太陽光発電 超伝導ケーブル 基 発 砂 超多条かつ大送電ロスで「送電不可能」
地 電 漠
[北澤宏一著 「科学技術者のみた日本・経済の夢」(㈱アドスリー)・丸善] 低圧大電流無損失 HTS Cableが必須!

図 21 超電導地球電力ネットワークの実現 図 23 風力/太陽電池発電基地(Wind-farm: Voltaic/Solar Battery-farm)


に於ける“100 万 kW”級『低電圧×大電流』集・送・配電システム

既存のACネットワーク
電流の 2 乗に比例する送電損失を可及的小さくするために、
(DC) (AC) 送電電圧を発電機端(例えば、1,000MW = 100 万 kW =
太陽電池 太陽 太陽
ファーム[1] 電池(1) 2次 電池(2) 2次 1GW 級の原発の出口)で 500kV(= 50 万ボルト)に昇圧
電池 電池
︰ 変換所 し、それに逆比例して送電電流を数 kA 以下に小さくして
冷却 冷却
︰ ステーション(1) ステーション(2) * DC/AC    AC いる。又、交流(AC)送電の無効電力上の送電距離制限を
(DC)  インバーター (又はDC)
太陽電池 需要地
ファーム[n] *昇圧トランス ネットワーク
小さくするために、対地静電容量を小さくできる架空線を
(低圧大容量)HTS DCケーブル *限流器
(AC)

*制御系
用いて、消費地の都心部にまで長距離送電するのが通例で

別の太陽電池& ある。一方、「GENESIS 計画」の太陽電池/風力発電 Farm
風力発電 風力発電ファーム群
ファーム[n] で数 10 万 kW 級の発電を行う場合、そもそも新エネルギー
キーポイント
*数kV∼数10kV (DC) (AC)
発電では原理的に発電電圧を大きくとれないので、送電シ
*数万A∼数10万A ① 複数条のHTS DCケーブル
② 多面的電力連系 ステムは、必然的に「低送電電圧×大送電電流」にならざ
数10万kW超
るを得ない。しかも前述の通り、超長距離送電になると、

図 22 GENESIS 計画と HTS DC ケーブル


無効電力を生じない DC 送電がメインとなる。この場合で
も、送電ロスを生じる金属導体を用いた電力ケーブルでは、
大電流を流すのに必要な電力ケーブルが想像を絶する程多
本数になること、あるいは送電距離に制限が加わることよ
する世界の砂漠のわずか 4 %”に相当するに過ぎないこと り、究極的には検討の対象にはなり得ない。(今後大規模
が強調されている。 な架空送電線が、Visual Pollution(視覚的公害)で許され
「GENESIS 計画」の特色は、図 21 に示す通り(6)、各地 なくなってきて、必然的に地中化した電力ケーブルを用い
の新エネルギー電力(主として太陽電池 Farm、副として風 ざるを得なくなってくる場合には、更にこの傾向が強く
力発電 Farm)を、高温超電導(HTS)ケーブルを用いて超 なってくる。)つまり、図 22 のキーコンポーネントと、図
長距離・国際連系を含めて全世界的な“地球電力ネット 23 の比較例より分ることは、太陽電池も風力発電機も変
ワーク”にまで拡大して連系することである。尚、この様 換器もトランスも既に技術としては十分完成しているか、
な超長距離送電ケーブルは、必然的に無効電力の生じない 実用化の域に達していると云い得るが、最大の課題が
直流(DC)ケーブルとなる。この「GENESIS 計画」を、 「集・送・配電用 HTS DC ケーブルの実現」にあることが分
必要なコンポーネントを加えて“発送電システム”として る。しかも、究極的に図 21 の“地球電力ネットワーク”
示すと、図 22 の通りとなる。
「太陽電池/風力発電 Farm」
、 を目指しているとすれば、これら HTS DC ケーブルは、膨
「HTS DC ケーブル」、「HTS ケーブルの冷媒(液体窒素)冷 大な量を占める“ボトルネック的な”キーコンポーネント
却ステーション」、「DC/AC 変換所(変換器、トランス、限 になるので(従って資源枯渇の観点からも、金属の銅を多
流器、遮断機等)」がキーコンポーネントとなる。 量に使用することは困難であるので)、セラミックスより
この「GENESIS 計画」の特徴をよりよく理解するために、 なる『HTS DC ケーブルの実現』こそが、「GENESIS 計画」
現在稼動している数 10 万から 100 万 kW 級の発送電システ 実現への“道”を拓くキーファクターになり得ることが分
ムと比較を試みたのが、図 23 である。銅又はアルミの金 かる。〔第 7 章結言の後の注書Ⅱ参照〕
属導体電力ケーブルを用いた現在の送電システムの場合、 住友電気工業㈱では、1986 年の高温超電導(HTS)現象

2 0 0 8 年 1 月 ・ SEI テクニカルレビュー ・ 第 172 号 −( 19 )−


発見以来、一貫して HTS 線材の研究開発を継続してきた。 は、DC 使用の場合である。その大きな理由は、超電導と
その結果、加圧焼成炉(CT-OP TM )を開発し、高性能のビ 云えども AC 使用時には、AC 独得の通電損失(ロス)が生
スマス系(第一世代)HTS 線材の商用化に成功した(商品 じること、及び HTS 線材の巻き方に起因する 1 本 1 本の線
® (53)
名「DI-BSCCO 」) 。この HTS 線材を用いて開発した 毎のインダクタンスの違いが、複数の HTS 線材に分配する
HTS AC 3 芯ケーブルの構造を、図 24 に示す( 54)。この 通電電流に差を生じさせてしまうことによる。図 26 では、
ケーブルは、図 25 に示す通り、米国ニューヨーク州の州 前記 AC ロスのために、HTS AC ケーブルでは通電時の発
都 Albany 市の実線路に試験的に導入され、2006 年 7 月より、 生熱に起因する送電電流上の限界が生じるのに対して、
(27)、
(54)
史上初めて約 7 万世帯に送電を開始した 。HTS DC HTS DC ケーブルでは全くその様な制限がなく、必要なだ
ケーブルは、絶縁設計上 HTS AC ケーブルより実現が容易 けの通電電流を、HTS 線材を増加させるだけで獲得できる
(55)
なケーブルとなる 。従って、この実線路導入 HTS AC ことを示している。例えば、今日住友電気工業㈱で達成し
ケーブル(Albany Project)の成功こそが、
「GENESIS 計画」 た「4mm 幅×略 0.23mm 厚さの DI-BSCCO ® 線材(≒ 1mm2)」
が初めて技術的に「Feasible(可能性有り)」なものになり 1 本当りの、いわゆる Ic(臨界電流)= 200A の線材を用い
得ることを、我々に確信させる礎になった。(尚、中部 ると、表 5 の通り、液体窒素(LN 2 )でも冷却を強化する
大学では、2006 年に、住友電気工業㈱が製造した DI- こと(サブクール)によって、約 2 倍の 400A まで Ic を増
®
BSCCO 導体 HTS DC ケーブルを用いて、世界初の HTS 加させることが可能となる。仮に冷媒として液体水素(LH2)
DC ケーブル通電試験を実施しており、その中で、常温銅 が使用可能になると、Ic は実に 5.7 倍で 1kA を超すことに
導体と極低温 HTS 導体間に、侵入熱を制御する“ペルチ なり、銅と比較すると 400 ∼ 600 倍の DC 電流を、無損失で
エ・リード”を採用してその効果を実証している(59)∼(61)。) 必要な距離だけ送電可能にすることになる。(この Concept
高温超電導(HTS)のメリットを最大に引き出し得るの を拡大して、「水素の 21 世紀」には、液体水素搬送用パイ
プの中に HTS DC ケーブルを複合して、二つのエネルギー
資源(液体水素と電力)を同時に遠隔地まで送る計画を検
SUSコルゲート
電気絶縁 2重断熱管 討しているチームもある(63)。)但し、HTS ケーブルは 77K
(PPLP 7mm+液体窒素) (真空) 外径φ136mm
(-196 ℃)以下に冷却されて使われるので、ケーブルの断
液体窒素(LN2)
の流れ 熱性能をどの様に高性能化しても、外気からの熱が少しづ
Cu撚線フォーマ
φ16mm つケーブル内部に侵入して、冷媒(LN 2 )の温度を上昇さ
せることになる。従って、ある一定の距離毎に冷媒(LN2)
を再冷却し、圧力をポンプアップする“冷却ステーション”
φ39mm

超電導導体

0.5mm
超電導シールド HTS《AC》ケーブル HTS《DC》ケーブル
Bi-2223 超電導線
4mmw×0.23mmt
クライオ 侵入熱 (A) 侵入熱 (A)
スタット
図 24 高温超電導ケーブルの構造 + +
絶縁体 AC通電発熱 (B) (DC通電発熱=)ゼロ (B)

Liq-N2

HTS導体 総(発生)熱 (C) (総(発生)熱=)侵入熱 (C)


・仕様:350m、35kV、800A 、 三心一括型
・期間:2002/11∼2007/6 (C) *送電電流に制限
(B)
(2004:ケーブル製造、2005:布設、2006:試験スタート) *送電電流に  がない
・Partners:IGC/SP, BOC, National Grid 限界処理熱量  限界がある 限界処理熱量  →コンパクトケーブル
発 発
・ファンド:米国・エネルギー省(13M$) 生 *冷却区間長が 生 *冷却区間長を
      MYSERDA*(6M$) 熱  短い 熱 (A)=(C)  大きく(長く)とれる
 (*New York State Energy Research & Development Authority) (A)
*冷却機大& *冷却機小&
・総開発費:∼26M$ 超電導ケーブル
 冷却ロス大  冷却ロス小
布設場所
・布設場所:NY州Albany市、 AC送電電流 DC送電電流
      National Grid電力会社の、2変電所間
     (世界初の長尺管路実線路実線路)
図 26 超電導 DC ケーブルのメリット
2006.07.20通電開始、順調に無人運転で7万家庭に電力供給
(第Ⅰフェイズ:9ヶ月、7,000時間、第Ⅱフェイズ:現在30mYBCO張替中)
350m(ビスマス系ケーブル)
架空線
端末 30m
高速道路 表5 冷媒差による DI-BSCCO® の臨界電流(Ic)の増加
ジョイント
端末 冷媒種類 温 度(K) DI-BSCCO® の Ic(A)
超電導ケーブル 冷却 液体窒素(LN2) 77 200(α= 1.0)
システム
液体窒素(LN2) 65 400(α= 2.0)
ジョイント 液体水素(LH2) 20 1,140(α= 5.7)

図 25 米国・オルバニープロジェクト 液体ヘリウム(LHe) 4 1,400(α= 7.0)

−( 20 )− GENESIS 計画と高温超電導直流ケーブル ∼究極の持続可能な


『新エネルギー』の活用について∼
が必要となる。図 27 は、代表的な HTS AC/DC 両ケーブ 図 22 のキーコンポーネントの内、変換器(インバー
ルの使用条件で検討した冷却ステーション間の距離を示し ター/コンバーター)も、大電流化した場合は、低ロス化
ているが、HTS AC ケーブルでは 5km 毎に必要な冷却ス する必要がある。現在の所、適用可能な変換器素子はシリ
テーションが、HTS DC ケーブルでは 15km まで延伸できる コン(Si)からなる半導体である。しかしながら、今鋭意
ことを示している(55)。冷却ステーションに必要な電力は、 開発が進められている「ワイドバンドギャップ半導体」、
送電容量に比すと非常に僅か(1km 当りの送電容量の 例えばシリコンカーバイト(SiC)電力用半導体が適用可
0.001 %程度(14))であるが、この電力も、図 22 の通り、 能になると、図 29 に示した様に、常温でも“ON 抵抗”
冷却ステーション毎に設けた「太陽電池+ 2 次電池」の組
合せで自給することも考えられる。表 6 は、従来の銅導体
の電力ケーブルと、HTS AC ケーブル及び HTS DC ケーブ 超電導DC送電システム
(3心一括型・単極1,500V・12kA)×6条 超電導DCケーブル(1500Vdc)
ルの「コンパクト性(送電容量差)」、「送電ロス」、「送電
コルゲート内管
損失低減の現在価値(含 CO 2 排出権活用の場合)」及び ケーブルコア
断熱層 DC/DC DC/DC
(真空多層断熱) 変換器 変換器
「トータル送電線路建設コスト」の比較である。いかに コルゲート
外管 太陽電池 太陽電池
フォーマー 防食層
HTS ケーブルが未来志向型のケーブルであり、中でも HTS 導体
(超電導) 液体窒素 数100kW級 数100kW級
流路 の太陽電池 の太陽電池
DC ケーブルがいかに優れた効果を現すかが、一目瞭然で 絶縁
(PPLP)
遮蔽、保護層 約90φ
ユニット ユニット

数100kW単位でユニットを構成し、直流電圧変換器
ある。図 28 に、1.5kV × 12kA の HTS DC ケーブルを 6 条 (DC/DC変換器)にて超電導DC送電システムに接続
(変換器は、直射日光を避けるため、太陽電池の下部
布設して、100MW(10 万 kW)送電する「GENESIS 計画」 に設置する。)

の実施例を示す。

超電導ACケーブル 超電導DCケーブル 設置面積:約2,750m x 500m


・3心一括型
・超電導線材構成 太陽光発電システム
 (導体)約50本/コア
構 造  (シールド)約50本/コア
・超電導線材臨界電流:200A
・絶縁厚:6mm 図 28 100MW 級システム
電流容量 27kA/3コア
3kArms
(設計裕度10%) (200A×50本/コア×3コア×0.9)
66∼77kVrms 130kV(0-P)
常規電圧 (現状実績レベル) (極性反転性能からの設計値)
送電容量 約350MVA 約3,500MVA 大電流低ロス変換技術

15,000 SiC変換器を 発生熱の


◆ φ150mm管路用
冷却距離(m)

△T:10K以下 LiN2で冷却 して 冷却除去


◆ 超電導ACケーブル △P:1MPa以下
10,000 の目標レベル 用いる 容易


5,000 超電導DCケーブル ◆ ◆ 性 原
の実現可能レベル
能 子
︵ 発生ロス極小
0 電 ・
0 1 2 3 4 5 6  
ON 分
抵 子
移 子
全損失(W/m) 抗 運
︶ 動 使用範囲
度 動
の 等
図 27 超電導ケーブルの送電容量評価

表6 高温超電導ケーブルの経済性評価 -270 -200[ -40 0 150 300 ℃



AC DC 適
【検討モデル】 [HTS] 温
送電容量:1,500MVA 従来ケーブル 高温超電導ケーブル 高温超電導ケーブル
(275kV 単心CV) (66kV 3心一括) (130kV 3心一括)


Conventional
Cable
布設形態 管路 管路
SiCの適用効果
Troughing
1/2 150 1/4 150
230 項 目 SiC/Si 達成度
340
150

800 600 Tunnel 高温超電導ケーブル 高温超電導ケーブル 高温動作 3倍 350℃


2,100
〈CO2減〉 800 〈 778ton-C/km/year〉 〈210ton-C/km/year〉 〈21ton-C/km/year〉
600 高耐圧 10 ≒20kV
送電ロス 400
1/4 1/10
(kW/km) 200
0 低損失 ≒1/420
15 1/100
送電損失低減効果 CO2排出権(10k円/t-
排出権(10k
排出権( 10k円/
円/t-
t- C) (ON抵抗) (SBD)
【初期投資換算】 10

& CO2排出権 5
(億円/km) 0
送電損失低減 高速しゃ断 10 数10n sec
100 送電損失低減、 送電損失低減、
75 洞道建設費
CO2削減効果 CO2削減効果
建設コスト 50 ケーブル
25 考慮 考慮
(億円/km) 0
-25 図 29 SiC 変換器の低温使用

2 0 0 8 年 1 月 ・ SEI テクニカルレビュー ・ 第 172 号 −( 21 )−


Step Ⅰ Step Ⅱ Step Ⅲ Step Ⅳ

*個別住宅 *小 Farm *小∼大 Farm *小∼大 Farm


*小規模コミュニティ *既存のACラインに接続 * 既存のACラインに接続  * HTS DCケーブルネットワーク
*電池・変換器 *小∼中電池・変換器   及びFarm間のネットワーク (超長距離大容量低ロス送電)
*独立消費 *CuケーブルとSi変換器 * (中∼大電池(*1))・変換器 * SiC低損失変換器
*発生電力の販売 * Cuケーブル+ HTS DC * 電力の国際融通
         ケーブル * PPLPソリットDC海底ケーブル
  可及的SiC変換器適用 (超長距離国際連系)
*電力の販売がメイン [*原則 電池不要]
(*1)ネットワークの効果によっては
   電池省略

(ローカル) (ローカル: 国内) (電力会社管内: 国内) (多国間: 国際連系)

太陽電池 太陽電池 太陽電池 太陽電池 太陽電池


Farm Farm Farm(1) Farm(2) Farm
池)
陽電 電池 (Cuケーブル) 電池 HTS DCケーブル連系
(太
PP
既存AC
変換器 変換器 (Si) ネットワーク
消費地 DC LPソ
( ケ リ
変換器 電池 海 ー ッ
底 ブ ド
連 ル


既存ACネットワーク )
太陽電池 太陽電池 太陽電池
Farm(3) Farm(4) Farm
消費地
HTS DCケーブル連系

既に実施中 一部実施中(∼2020) (2010∼2050∼) (2020∼2050∼)

図 30 「GENESIS 計画」の“Step by Step”の発展

を Si に比して 2 桁小さくできることが示されている(21)。更
M
YA
NM

LA

に、同図のグラフに示す様に、この素子を HTS ケーブル用


AR

O
PD

THAILAND
VIETNAM
R

H
IL

冷媒(LN 2 )の冷熱で冷却して用いると、あるマイナス温
IP

COMBODIA
P
IN
E
S

度まで急激に ON 抵抗を減少させられること、及び発生ロ (南シナ海)


サラワク州

スの除去も容易になることが期待される。この「SiC の冷
MALAYSIA BRUNEI

 


680km
却下での使用」を HTS DC ケーブルに組合せる発想こそが、
IN

SINGAPORE
D

(カリマンタン)
O
N
E
S

更に「GENESIS 計画」を効率的な実現に向けて大きく前進
IA

項 目 内  容
INDONESIA
施行会社 SPC(Sime Darby社/マレーシア政府大蔵省/TNB)
させる礎になるものと考える。
2,400MW(第1次)
水力発電電力 内 半島へ1,600∼ 2,000MW送電(予定)
「GENESIS 計画」の具体的な進展に関するアイデアは、 B・H・P・P∼TG. DATU 660km
送 架空線
電 1∼2 バイポール(2∼4条)
資料(4)(5)(6)(14)等に展開されている。ここでは、 ケ
TG. DATU∼TG. SEDILI 680km

ブ 海底ケーブル ±500kV 1×2,000mm2 第1次2条の予定
「GENESIS 計画」の段階的な発展形態を、図 30 の通り、 ル 送電容量:(第1次)1.6∼2GW(将来5∼25GW∼50GW)
建設時期 2008∼2016(+α)内2013年 1条完成
Step Ⅰから Step Ⅳ、に分けて提示する。既に、Step Ⅰ及び
Step Ⅱは世界の各地で展開されている。Step Ⅲは、各太陽 図 31 アセアン電力連系と Bakun Project
電池/風力発電 Farm の発生電力を、すぐ近傍の既存の電
力ネットワークに連結し、その地域での消費を第一としな
がら、玉突き式に余剰電力を隣接地に融通してゆくケース
に相当し、極めてイメージし易いものである。Step Ⅳ 、 こ この直流海底送電線技術が、近い将来「GENESIS 計画」と
そが、図 21 に示した、“超電導地球電力ネットワークの実 ドッキングすることが期待される。
現”に通ずる最終形態となるが、それでも海底ケーブルを 更に、この「GENESIS 計画」用 HTS DC ケーブルで期待
介して国際連系を確立するとなると、この部分では、当面 される技術としては、ケーブル線路の両端に第 2 世代の
は HTS ケーブルではなくて、銅導体を用いた「PPLP ソ YBCO(又は HoBCO)線材を用いた HTS DC ケーブルを配
リッド DC 海底ケーブル」の適用に頼らざるを得ないと考 置して、HTS ケーブルそのものに、過渡事故電流を制限さ
えている(45)、(56)。現在、図 31 に示される、マレーシア領 せる限流機能(FCL : Fault Current Limiter)をもたせた
サラワク州とマレーシア半島間 680km の南シナ海を横断す HTS DC ケーブル線路がある(57)。又、HTS DC ケーブルの
」が進行中であり(45)、
る「Bakun Project(200 万 kW 送電) (56)
、 超長尺性を、ケーブルのインダクタンス(L)の増加の点

−( 22 )− GENESIS 計画と高温超電導直流ケーブル ∼究極の持続可能な


『新エネルギー』の活用について∼
から活用し、大電流(I)通電によって、このケーブルに電 る。歴史に学びつつ未来を俯瞰するならば、図 32 の、高
力を貯蔵させる(W = 1/2L・I 2 )機能を併せ持たせようと 温超電導(HTS) DC ケーブル及び「PPLP ソリッド DC 海
の画期的なアイデア(“電力貯蔵機能付き送電ケーブル”) 底ケーブル」と太陽起源の新エネルギー(太陽電池/風力
もあり ( 60)、
( 61)
、 い ず れ も HTS DC ケ ー ブ ル を 用 い た 発電/水力発電)を結合させた「GENESIS 計画(+α)」
「GENESIS 計画」であればこそ実現可能な“夢と新技術” こ そ が 、“ 核 融 合 ” に 代 っ て 唯 一 の F e a s i b l e な 提 案
であり、その実現を期待している。 (Solution)となり得ることが理解できる。「GENESIS 計画
(+α)」を現代の視点から眺めれば(In-Out)、極めてハー

7. 結  言
21 世紀は、「エネルギー・資源・環境」の世紀である。
太陽
増加する人口とエネルギー消費の中、現代人は 20 世紀の負 新エネルギー GENESIS
*クリーン
計画
の遺産をクリアしつつ、エネルギー・資源・環境の保全に 太陽電池 水力発電
*グリーン
全力を尽して、将来の人類を含む総ての生命体の“Welfare” *無尽蔵 風力発電
*不偏性
持続可能
(Sustainable!)
に強く思いを馳せるべきである。人口の増加を不可避とす ( 争いなし)
高温超電導(HTS)DCケーブル
るならば、「エネルギー・資源・環境」を保全するには、
先進的革新的 PPLPソリッドDCケーブル
新たな発想の下に、「新たな技術開発」を幅広く企画し、 技術
且つ強力に実行しなければならない。しかも、指数凾数的 人類の必要な全エネルギーは太陽から得られる!
に進展するエネルギー消費と環境悪化を考えると、非可逆
政治的判断 ( 成就不可避性 人間の叡智 )
的な「Point of No Return」を越える遙か前に、これら新 政策と導入メカニズムの
確立が必要 (
“現在”ではなく“未来”に基づく判断が必要!)
技術群に立脚した新システムを人類社会に導入し、且つそ
のシステムを成熟化させる必要が何にも益して重要とな 図 32 接続可能(Sustainable)なエネルギー・システムへの挑戦

現状及びその延長上の危機(クライシス) 新規提案
石油
13 (千万バレル/日)
化石燃料 12 太陽
可 ウラン
採 11
石油 ガス 石炭
年 10 バイオ
数 光 風 水 新エネルギー
革新的 61 41 62 216 9 エネルギー・資源 植物
技術 8 需要増加
7 (年)
多消費 0 太陽電池 回転機
核 2002 2010 2020 2030
融 人口 熱/機械
合 (億人) 電力エネルギー
技 120 エネルギー
術 環境 枯渇 100
の 先
80 進
実 高温超電導
現 60 GENESISプロジェクト 的
直流 ・
CO2&温暖化/汚染 40 人口増大 電力ケーブル 革
20 新
(年)
0 ワイドバンドギャップ 的
1950 1995 2050 2150 技
1970 2025 2100 人類&文明の パワー半導体デバイス
(人類&文明の) 術
カタストロフィー 継続的維持・発展 開
没落 重要な比較
[Sustainability] PPLP ソリッド 発
と判断
DC海底ケーブル

京都議定書の維持発展と『太陽エネルギー活用』の時代への回帰と躍進

化石燃料
自然の太陽エネルギー
+ウラン の 新技術による
以内での生活
一時エネルギー 太陽エネルギー
活用の生活

産業革命 現代 未来

図 33 エネルギー・資源・環境の 21 世紀

2 0 0 8 年 1 月 ・ SEI テクニカルレビュー ・ 第 172 号 −( 23 )−


ドルの高い“単なるアイデア(思いつき)”と映るかも知 参 考 文 献
れない。しかしながら、未来の観点からバックして現代を (1)R. Hata,“HTS Applications and GENESIS Program”, ISIS-
眺めれば(Out-In)、その必然性(Inevitibility)は歴然とし 16, Philadelphia, U.S.(2007)
(2)R. Hata,“High Temperature Superconducting(HTS)
ている(21)。
Cable and“GENESIS Project”, Milken’s Global Conference
最後に、本論文の全エッセンスをまとめて、図 33 に (2007)
示す。同図の左側「現状」と右側の「新規提案」を比較 (3)畑、「『エネルギー・資源・環境の 21 世紀』における高温超電導
(HTS)技術の役割 −「GENESIS 計画」と HTS DC Cable −」、
すれば、人類の採るべき道は自ずと明白である。
平成 19 年度電気関係学会北陸支部連合大会特別講演(2007 年 9 月)
今こそ“Sustainability”の真意を理解し、その採るべき (4)桑野、北澤、畑、「特別座談会 エネルギーを地球規模で活用する」、
道を全ての人々の心に問いかけ、叡智と Vision(洞察力) OHM (2004 年 5 月号)

と Mission(使命感)と勇気と弛まぬ努力をもって、未来 (5)桑 野 、「 新 ・ 太 陽 電 池 を 使 い こ な す 」、 講 談 社 ブ ル ー バ ッ ク ス
(1999)
を切り拓く行動に立上る時であると固く信じて本稿を終り
(6)北澤、「科学技術者からみた日本・経済の夢」、丸善アドスリー
たい。 (2002)
(7)Y. Kuwano,“Global Energy Network Using Solar Cells −
Solar cells save the earth(GENESIS Project)−”, Tokyo,
Japan(June 18, 1996)
(8)Y. Kuwano,“The PV Era is coming”the way to GENESIS”,
〔注書Ⅰ:大阪大学名誉教授の松浦虔士博士は、「太陽起源 Solar Energy Materials and Solar Cells, Elsevier Science
の新エネルギーを活用することは、太陽で安定してコンス B.V.(1994)
(9)桑野、「太陽電池は実用化時代」、エレクトロニスク(1993 年 11
タントに続く“核融合”から生ずるエネルギーを、人類が
月号)
距離を置いて安全に活用していることにほかならない。」 (10)桑野、「クリーンエネルギー太陽電池の現状と将来」、科学と工業
と説明しておられるが、至言である。この様な理解も Vol.65(1991)

“GENESIS +α計画”の考察には重要と考える。〕 (11)Y. Kuwano,“ PROGRESS OF AMORPHOUS SILICON


SOLAR CELLS”, 4th International Photovoltaic Science
and Engineering Conference, Sydney, Australia
(February, 1989)

〔注書Ⅱ:現在人間が利用している化石燃料資源は、地球 (12)桑野、「グローバルエネルギーネットワーク −ジェネシス計画の提


案−」、サンシャインジャーナル 1990 Vol.11 No.1(1990)
の歴史 46 億年の中で、太陽エネルギーを基にして、炭酸ガ
(13)桑野、「ジェネシス計画の提案 太陽光発電は人類究極のエネルギー
ス同化作用(光合成)によって固定した炭素(及び解放し 日 本 は 率 先 し て 世 界 ネ ッ ト の 形 成 を 図 れ 」、 エ コ ノ ミ ス ト 別 刷
た酸素)を中心にして成るものである。従って、ある時点 (1989.8.15/22 合併号)
「超伝導技術の未来」、低温ジャーナル(2007)
(14)北澤、
では広く薄いエネルギーを、超長時間に亘って蓄積し、濃
「 世 界 の エ ネ ル ギ ー 需 要 2 0 3 0 年 ま で 5 割 増 」、 日 本 経 済 新 聞
(15)
縮したものである。それを現代の一時点で、一気に酸化し (2006 年 11 月 8 日)
て活用し(CO2 を放出するからこそ)、巨大な一過性エネル (16)「エネルギーの未来」、日経サイエンス(2006 年 12 月号)
ギーとなる。 (17)「核のゴミ処理場どこへ」、朝日新聞夕刊(2002 年 3 月 2 日)
これに対して、現時点(という短時間に)広く薄く降り (18)「都市部への人口流入加速」、日本経済新聞(2007 年 9 月 14 日)
注ぐ太陽エネルギーを起源とする新エネルギーを、意味あ (19)「厳しい気候 耐える風車へ」、朝日新聞(2007 年 7 月 6 日)

る量、すなわちエネルギー資源として捕獲し、活用するに (20)「太陽電池 発電効率の壁破れ」、日本経済新聞 (2007 年 7 月 6 日)


(21)畑、「『京都議定書』と北東アジア エネルギー・資源・環境・経済圏
は、広大な面積に分散しているエネルギー資源を集積する
−国際連系直流送電システムの検討−」、SEI テクニカルレビュー・
必要がある。(つまり、“時間の積分”を“面の積分”に置 第 167 号 (2005 年 9 月)
き換える必要がある。)それ故、この場合のキーとなる技 (22)「世界の人口 65 億人」、朝日新聞(2006 年 2 月 27 日)

術は、「集・送・配電技術」となり、「蓄電技術」が、それ (23)
「世界の人口 65 億人突破」、茅ヶ崎方式月刊英語教本第 110 号
UNIT18(2006 年 5 月)
を(経時的に)補完することになる。
(24)畑、「超電導応用機器の構造と材料 −超電導ケーブル−」、電気評論
このエネルギー資源に於ける「時間から面への転換」を、 (2001 年 12 月)
産業革命以降の人類が、先進的かつ革新的技術開発によっ (25)渡辺、増田他、「韓国 KEPCO 向け 22.9kV 高温超電導ケーブルの
て、ごく限られた短時間の内に成し遂げることが出来るか 竣工」、SEI テクニカルレビュー・第 169 号 (2006 年 7 月)
(26)「実用化探る高温超電導ケーブル 送電試験、米で本格化」、朝日新聞
どうかが、今問われているのである。〕
夕刊(2007 年 3 月 6 日)
(27)「超伝導で超効率送電」、朝日新聞(2007 年 9 月 7 日)
(28)藤野、大松、岡崎他、「船舶モーター用超電導コイルの開発」、SEI
テクニカルレビュー・第 171 号(2007 年 7 月)
(29)「非鉄銀属 銅上昇、中国の需要旺盛」、日本経済新聞(2007 年 8 月
21 日)
(30)例 え ば 、「 IPCC 4 次 報 告 生 々 し さ に 危 機 感 」、 朝 日 新 聞 夕 刊
(2007 年 2 月 2 日)

−( 24 )− GENESIS 計画と高温超電導直流ケーブル ∼究極の持続可能な


『新エネルギー』の活用について∼
(31)
「今世紀末、生物の危機再び?」、日本経済新聞(2007 年 7 月 執 筆 者 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
22 日) 畑     良 輔:常務執行役員(工学博士)
(32)「平成 20 年度 経済産業政策の重点(原子力立国計画)」、経済産業省 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
資料(2007)
(33)「原発稼動 世界で 429 基(日本建設中 3 基、計画中 11 基)」、日本
経済新聞(2007 年 4 月 3 日)
(34)「原子力復権狙う米国 原発 30 基超の新設計画」、日本経済新聞
(2007 年 7 月 9 日)
(35)「原発大手ウラン争奪」、日本経済新聞 (2007 年 8 月 21 日)
(36)「迫る危機 世界人口の半分水不足も(「水の時代」が 来 た !)」、日本
経済新聞(2004 年 11 月 6 日)
(37)西川、
「水と生存環境」、随想、電学誌 127 巻 9 号(2007)
(38)
「産油国 新エネルギーを競う」、日本経済新聞(2007 年 8 月 25 日)
(39)
「サウジで発電・造水事業」、日本経済新聞 (2006 年 11 月 23 日)
(40)「新燃料 日米アクセル」、朝日新聞 (2007 年 1 月 25 日)
(41)「特集 原子力ルネッサンス」、エネルギー・資源 Vol.28 No.5
(2007 年 9 月)
(42)「使用済核燃料地中処分問題 ネバタ州知事が拒否」、朝日新聞夕刊
(2002 年 4 月 9 日)
(43)「米で初の運転許可更新 カルバートクリフ原発 40 年にさらに 20
年」、原子力産業新聞(2000 年 8 月 24 日)
(44)「内閣府・経済産業省/「エネルギーに関する世論調査」の結果を発
表」、ENERGY,OHM(2006 年 4 月号)
(45)畑、「PPLP ソリッド DC 海底ケーブルと「京都メカニズム」を活用
した CO2 排出削減について」、SEI テクニカルレビュー・第 169 号
(2006 年 7 月)
(46)「発電効果の壁破れ 太陽電池「量子ドット」従来型の倍以上に」、日
本経済新聞(2007 年 7 月 6 日)
(47)「制御しやすく環境に優しい小型水力発電所建設相次ぐ」、日本経済
新聞(2007 年 9 月 27 日)
(48)
「新潟県中越沖地震」、茅ヶ崎月刊英語教本、第 126 号(2007 年 9 月)
(49)「報道内容に疑義多数」、原子力産業新聞 (2007 年 9 月 30 日)
(50)「原発大国・米 中越沖の衝撃」、朝日新聞 (2007 年 9 月 7 日)
(51)「原発停止長期化へ 中越沖地震メカニズムは?」、日本経済新聞
(2007 年 7 月 19 日)
(52)
「官民共同で出力 180 万 kW 級、BWR と PWR 開発」、原子力産業
新聞 (2007 年 9 月 20 日)
(53)加藤他、「革新的ビスマス系高温超電導線(DI-BSSCO ®)の開発」、
SEI テクニカルレビュー・第 168 号(2006 年 3 月)
(54)湯村、増田、畑他、「長尺三芯一括型高温超電導ケーブルによる世界
初の実線路建設と商用運転(米国 ALBANY プロジェクト)」、SEI
テクニカルレビュー・第 170 号(2007 年 1 月)
(55)廣瀬、増田、畑他、「高温超電導直流ケーブルについて」、SEI テク
ニカルレビュー・第 167 号(2005 年 9 月)
(56)畑、「超長距離大容量国際電力連系用 PPLP ソリッド DC 海底ケーブ
ル」、SEI テクニカルレビュー・第 168 号(2006 年 3 月)
(57)大 松 、「 超 電 導 ケ ー ブ ル 」、 日 本 国 公 開 特 許 公 報 、 特 開 2 0 0 3 -
141946(2001 年 11 月 2 日)
(58)「激震 こぼれた廃棄物」、朝日新聞(2007 年 10 月 8 日)
(59)山口、浜辺他、「直流超伝導送電実験装置の第 1 期実験報告」、3A-
a07 第 76 回 2007 年度春季低温工学・超電導学会(2007)
(60)山口、浜辺他、「直流長超電導送電システムの検討」、低温工学・超
電導学会(2005)
(61)S. Yamaguchi at al, Rev. Sci. Instrum. 75 207(2004)
又は Submitted to Physics C(2008 公開予定)
(62)「東レ 炭素繊維で車部品」、日本経済新聞(2007 年 10 月 9 日)
(63)P. M. Grant, "The SuperCable : Dual Delivery of Chemical
and Electric Power," IEEE Trans. Appl. Super. 15(2005)
1810
(64)
「エタノールで需要変容 トウモロコシ高余大きく」、日本経済新聞
(2007 年 10 月 3 日)
(65)
「世界人口 66 億人」、日本経済新聞(2007 年 6 月 28 日)

2 0 0 8 年 1 月 ・ SEI テクニカルレビュー ・ 第 172 号 −( 25 )−

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