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Title 易経の思想史的研究( Abstract_要旨 )

Author(s) 本田, 濟

Citation Kyoto University (京都大学)

Issue Date 1964-06-23

URL http://hdl.handle.net/2433/211273

Right

Type Thesis or Dissertation

Textversion none

Kyoto University
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氏 本 田 済
はん だ わたる

学 位 の 種 類 文 学 博 士

学 位 記 番 号 論 文 博 第 5 号

学位授与の 日付 昭 和 39 年 6 月 23 日
学位授与 の要件 学 位 規 則 第 5 条 第 2 項 該 当

学位論文題 目 易 経 の 思 想 史 的 研 究

(主 査)
論 文 調 査 委員 教 授 重 揮 俊 郎 教 授 宮 崎 市 定 教 授 吉 川幸 次郎

論 文 内 容 の 要 旨

この論文 は古今 の易解釈 に対す る思想史的観点か らの研究を意図 したものである。


論文 は二篇か ら成 る。 第- 篇 ほ八章 に分たれて易経の成立を考究 し, 第二篇 は六章 に分 たれて易学の歴
史を考究 している。
著者 はまず易 とい う名称の起源 の探求か ら着手す る。 易が本来抑揚を意味す る文字であることは, 十巽
の一部をなす象及 よび象が共 に獣名である事実 とあわせ考え るとき_, それ らがそれぞれ異 なった売 卜者集
団の トテムに由来す る名称 であったか も知れないとす る著者 の想定 は, 易の原初的成立基盤 について, あ
る示唆を与え るものである。
易の経文すなわち卦辞交辞 については, 著者 は両者 の内容 には古い 卜辞 の残簡および僅諺格言の類 に加
えて, 庶民的な処世智のよ うな ものが看取 され ることを指摘す る。
左伝 に見え る易の解釈が大象の首部 と説卦後半 の解釈法の将内に在 ることを明 らかに した著者 は, 十巽
の うちこの二者が最 も古 く, 大象の後半 ・ 小象および蒙が これ に次 ぐと判断す る。 そ して著者 は, 小象 と
象 とは陰陽思想の前駆 ともい うべき剛柔二元論を取 り, また儒家的色彩が豊富で, 経文の素朴な, あるい
は無内容 ともいえ る言葉を哲学的 あるいは教訓的な ものに変貌 させ る効果を もつ と考え る。 儒家思想はそ
の視史めいた前身な らびに運命論的立場のゆえ に, 他 の学派 よりも易 と結合す る 可能性 は 豊富で あっ た
が, ある発展段階 において宇宙論を取 り入れ る必要を生ず るに及んで, 易 との関係が急速 に近 くな ったと
い うのが, 著者 の根本的見解である。

易を儒家の経典 たる地位 に上せた決定的要因は, 著者 によれば, 繋辞 ・ 文言および説卦の一部の成立 に


外な らない。 この三種 は大帝国の設立 に伴 な う, 政治 の規範たるべき実用理論へ の関心 によって出現 した
ものであるか ら, その成立は秦漠時代 と並行す るものと考え ることができる。 十巽の うち最 も新 しい部分
は序卦 ・ 雑卦の二者 で, これ は恐 らく前漠初期の経学者 占笠者の制作 に係 るとされ る。
第二篇の第一章 モ前漠の易学ミ において, 著者は孟菩 ・ 京房の易学 と前漢王朝 における君主の呪術的性
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格一神格化一 の思想 との関連 に注 目 し, 讃韓 や太玄の思想 もまたこの関連 において解釈 され るべ きを指摘
す る。 第二章 も後漠の易学ミ は鄭玄 ・ 萄爽 ・ 虞郡 の易解釈 に見 られ る特徴を挙 げ, その学術史的意義を考
究 したものであるが, 鄭玄が他経 との体系的関係 に留意 して易解釈を樹立 した点, 萄爽の升降の法が一種
の理想主義的観念 の所産であ り, 時代 の名教 に忠実す ぎる心理の反映 に外な らない ことを明 らかにしてい
る。

第三章 は モ
王弼 の易学ミ と題 され る。 従来の易学 における呪術的性格が王弼 に至 って極度 にまで縮小 さ
れて合理主義精神がそれ に代 り, そ して官場 における貴族階級の不安意識が反映 されてい る点 に, その思
想史的特徴が発見 され ると著者 は主張す る。
第四章 も
周易正義その他ミでは, 唐 の周易正義が鄭玄注を斥 けて王弼注を採用 した こと, 宋代哲学 との
歴史的関係 について注 目 し, また易を老荘 と並んで玄学的 に理解 しよ うとす る好尚が現れて くる事実 など
を通 じて, 卜笠そのものへの懐疑的態度が推知 され ることは, 当時一部 に現れ た合理主義 と無関係で はあ
り得ないと論ず る。
第五章 も宋明の易学ミ において論及 されてい るものは, 宋 については張戟 ・ 程瞭 ・ 朱煮および司馬光の

潜虚, 明 については来知徳である。 張戟の易説 は 自己の世界観を経書を籍 りて展開 し程頃の易伝 は専 ら人


事 に即 して説 く点で王弼 に近 く, 道学的教訓性が強い。 朱嘉の本義は程伝 に依拠す るが, 程氏の取 らなか
った先天諸図を取 り, 卜宏面を重視す ることに特徴が見 られ, 司馬光 の潜虚 は天地人の数理的図式的体 系
を作 り出そ うとす る要求 に導かれたものと考え られ, この点で資治通鑑 との関連性が認め られ ることに言
及 している。

第六章 も清朝の易学七では三夫之 ・ 胡洞 ・ 乾嘉の易学 ・ 恵棟 ・ 焦楯の五項 目について論述す るO 三夫之


の易学は張戟の哲学を根幹 と した倫理的解釈 に加えて, 象数訓話 の面 にも注意を怠 らず, かつ強い歴史的
関心 と徹底 した撰夷思想 とを特徴 と し, 胡潤 については宋人の河図洛書を完膚なきまで に攻撃 しなが ら,
真の河図洛書の存在を疑わないところに, 不可知論 に連な る現世肯定的努力主義的悟境が 見 られ る と言
う。 恵棟 と焦循 とは共 に乾嘉の代表的易学者 と して評価 され るが, 恵棟の周易述 は畢克虞翻 ・ 萄爽の原理
によって易を解す るものに外な らない こと, 焦循の易図略 ・ 易通釈などは易の全部 について一貫 した法則
性を立て ることを主眼 と し, また彼 において易の呪術性 は完全 に払拭 されていることが注 目さるべ き点 と
して指摘 されている。

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

易は十巽が完成 して儒家の基本経典 とな されて以来, その独 自の哲学思想の故を もって, 歴代の儒家 に


よって一貫 して重要視 されてきた。 特定個人の易学 については過去 において もある程度見 るべ き研究がな
されているが, 古今の主要な易学を思想史的観点か ら全体 と して発展的 に把握 し, その上 に立 ってそれぞ
れのもつ思想史的意義を観明す ることは, 従来 ほとん ど試 み られ ることがなか った。 本論文が この問題を
正面か ら取 り上げたのは, 著者 の認識の正 しさを示す もので ある。 そ して, 著者が主夫之 ・ 焦楯などの易
学を精詳 に紹介 して評価を加え, 五経正義 と宋代哲学 との内面的関連性 について論ず るなどほ, 易学研究
上注 目すべき新 しい成果 とい うに償いす る。 きわめて広汎 な資料 に対す る分析 や解釈 において避 け難い多
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少の欠陥があるのは, 著者将来 の努力 によって補正 され よ う。 よって本論文 は文学博士 の学位論文 として
価値 あるものと認め る。

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