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キュポラ溶解にふ、ける硫黄の挙動T
阿 部 喜 佐 男 *
Synopsi:
This yduts was made ot yfiralc eht phenomena fo eht refsnart fo ruflus from coke ot meta~
when eht metal si molten down ni .alopuc
A suoruflus dezidxo mlif si formed on eht ecafrus fo eht metal gnisap eht gnitaehrp .enoz
This mlif si very niht and eht id 妊noisu fo eht ruflus ni eht mlif otni eht metal was ton .dezingocer
nI eht gnitlem zone ,eht dilos metal changes ot a molten drop etats ,and ruflus noitprsba searcni
yldipar up ot about 06 -8 0% fo latot .noitprosba One fo eht ecruos fo ylpus fo ruflus si eht 2S gas
raen eht ecafrus fo eht coke and eht rehto si eht S02 gas ni eht combustion .erhpsomta
tI was confirmed taht erht si ssel ruflus pick-u ni gip nori than ni ets .1 The reason rof
siht phenomenon was derisnoc ot be taht 社erel era ytnelp fo C and iS ni gip nori which setavitca
.noitaziruflused
.2 コークスに含まれている硫黄 3 固体地金の硫黄吸収
キュポラ溶解に使われる種々の材料に含まれている硫 地金は,予熱帯では固体であり,溶解帯及び湯だまり
黄とその性状を,調査してみた. 部では液体となり,それぞれ異なる条件でコークスや燃
まず銑鉄の硫黄量は一般に低く, 0.2-0.4% 程度で 焼ガスと接し,硫黄の吸黄の吸収条件も変わってくる.
あった.鋼くずも 0.03% 程度であったが,キュポラ溶
解では,これを多く配合しても低硫黄の溶湯は得られず, T 昭和84 年 7 月02 日原稿受理
むしろ銑鉄より高い硫黄量となることに注目したい. * (財)綜合鋳物センター ヱ博
( 32 )
キュポラ溶解における硫黄の挙動 325
なおここで,地金の硫黄に対する出入現象に関して, この式から, 1,
0oC における.J GO = -41 053
, また
7a
tm と計算されるので,予熱帯における温度
用語を規定しておきたい.まず,地金に硫黄の吸収され PS02 宇1O-
表 1 コークスの灰の化学組成例
A 52.
L
X
D 61.2
表 2 鋳鉄試片表面の硫黄含有量の増加
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表 3 鋼棒試片表面の硫黄含有量の増加
下端
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ヒ主竺十ーナー,-----,-一「←司定試片 単位 mm
-105+- 05 -+50 -+50 -+-50~
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内 層
(3 )
425 鋳 物 第 46 巻 第 6 号
この結果,地金が予熱帯を通過する温度,時間条件で の表面には,空気中の酸素は到達し得ないとしているの
も地金表面には明らかに硫黄を含んだ酸化膜が形成さ で,コークス表面には 5 ,ガスだけが存在し,この部分
れることがわかった.この酸化膜は,大平ら町の EPMA では,溶滴は 25 ガスから硫黄を吸収するとみなされる.
の分析によれば, Fe5 を含んだ FeO で構成されてい またこの現象は,湯だまり部における溶湯の吸硫にもあ
る,と報告されている.しかしこの酸化膜は,図 1 のサ てはまると考えられる.
ルフア・プリントに示されているように,ごく薄く,し そこで,これらの溶湯とガスとの反応を,化学平衡的
かも地金内部にまで移行した形跡は認められない. に可能性を推定してみる.まず, 502 ガスに対しては
また,操業途上で採取した装入地金の銑鉄と銅くずの 502=[9 ぢ5]+2C%0] ・・・…・….・.・ (2}
表層と内部の硫黄量を分析したが,表層がやや硫黄量に 1L GO =1 ,
780+ .31 4/T り
01 cm 17 司 n/ つぎ、に, 25 ガスからの硫黄吸収の可能性
をみるため,溶湯中の C%5J に対する 25 ガ
スの平衡分圧を次の式で求めてみる.
をC
=25 労5
J …
・・..…
..... …( 5)
1L Go=-31 ,
520 十)
4T72.5
いま,溶湯の硫黄濃度を C%5J=0.1 としテ
15cm 19 m ,
'n
o
溶解帯の最高温度を 1,
08 C とした場合,
PS 2=4. 85 X -01 7 と計算された.また ,1},
(05
oC とした場合には Ps 2 =3. 46X -01 8
と計算
図 1 試片断面のサルファ・プリント され,いずれもきわめて低い平衡分圧となる
( 43 )
キュポラ溶解における硫黄の挙動 52
ので,コークス中の硫黄ガスも溶湯に吸収される可能性 により再確認する必要があったので,次のような実験を
はじゅうぶんにあるとみなされうる. 行った.
4.2 溶解帯及ひ湯だまり部における溶湯の加硫 実験は, 2S ガスと溶湯が典型的に直接接触する湯だ
溶湯の吸硫に対して熱力学的に検討を加えたが,実際 まり部に擬し,コークスを溶湯に浸漬して,加硫量を調
のキュポラ操業により,どの程度まで加硫されるかを調 べた. 01 替の黒鉛るつぼ中に銑鉄約 3kg を入れ,高周
べてみた. 波電気炉で溶解し,約 1,
05 0
C に達したのち, 20-30
操業実験に使用したキュポラは,内径 480mm のもの m m 角のコークス粒約 0.7kg を溶湯に浸潰した.分析
で,脱湿,熱風送風を行った.溶解操業にあたっては, 試料は,コークス粒聞の溶湯を内径 2mm の石英管で
銑鉄及び銅くずだけを装入し,それぞれの溶解時の加硫 吸引し, C とS を分析したが,それらの成分を経時変化
をみるようにした. として示したのが図 2 である.
まず,溶解帯の加硫の調査には,アルミナ粉を厚く塗 加硫量は 5210. ぢ程度であり,前述のキュポラ実験の
布したV 宇状鋼棒を,羽口から炉内に約 70mm そう入 それには及ばなかったが,これは,カ日硫条件が及ばない
し,上方から落下する溶滴を数個受けて分析試料とした. ためであり, 2S ガスからの硫黄吸収は実証された.
次に,湯だまり部を通過することによって起こる溶湯の 一方,溶湯は溶解帯で S02 ガスとも接触する.国体
硫黄量の変化を調べるため,出湯といから試料を採取し 地金については前に述べたとおりであるが,反応速度か
た.その時期は,羽口面で溶 i衡を採取し;:,cから 5min らみれば,溶湯の吸硫は著しく増大することが考えられ
後とし,連続出湯といから内径 2mm の石英管で溶湯 る.
を吸い上げて,分析試料とした. そこで, S02 ガス気流中における固体地金と溶湯との
以上の方法によって採取された溶滴及び溶湯につい 吸硫量を比較する実験を行った.試片は径 5mm ,高さ
, C 及び S の分析値を比較したのが表 4 である.この
て .1 5- .1 8mm に作製し,これを磁製ボート上に並べて
表でわかるように,装入時に硫黄含有量 0.035% であっ 磁製管内にそう入し,加熱し,所定温度で S02 ガスを
た銑鉄は,羽口面までに急激に加硫されて 9160. ぢとな 流した.流量は 20c ,20min としたが,これは,予熱
り,湯だまり部を経て 0.081% となっている.このこと 帯における地金表面が受ける S02 ガス量を,試片表面
は,地金が溶解帯を通過するまでに総加硫量の, 56.5% 積に対応させるように決めたものである.
が加硫されていることを示している.鋼くずの場合には 通気後の試片は,硫黄を含んだ厚い酸化膜に覆われて
76.2% に達し,しかも銑鉄に比べて加硫量が高くなって おり,これを取り出してそのまま硫黄を定量し,増加量
いることもわかったが,これに対する解析は,後で述ぺ とした.
ることとする. しかし,加熱温度が 09 0
C を超えると,試片は溶融状
以上の実験から,地金がもっとも多量に硫黄を吸収す 態となって,扇平状に崩れてしまい,個々の試片を取り
るのは溶解帯であり,次には湯だまり部であることがわ 出すことはできなかったので,ボートを破砕し,地金部
かった.そして硫黄の供給源としては,溶解帯では 2S , 分を採取し,硫黄を定量した.したがって,酸化 1莫が含
S02 ガス,湯だまり部では 2S ガスである可能性につい まれないため,硫黄増加量としては低めに表されよう.
て化学平衡的に確かめたが,この現象については,実験
nmU 1
4
凋 ιAT
円 inhHMrhυ'A庁
表 4 羽口面及び樋における溶湯の C ,S の比較
4
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411トl
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C ,% iS ,%
ψ日
記 号|地金種別 卜一一一一「ー
羽口面|と い|羽口面|と い
( 53 )
625 鋳 物 第 46 巻 第 6 号
それにもかかわ とみなし,表面の濃度が内部へ移動していく拡散の度合
らず,図 3 に示
0.7
L ↓試料制措 を t 時間における濃度変化で表してみると,次のように
すように,温度
上昇とともに急
. 60
0.5 "
-f
. mf/.c7c02Z32Oas3 %820a
S470Q
001
% 02
.tm n
%in
。
災
/
v なる )7
F=(C m ー Co) / (Cs-Co)
訟
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激な硫黄増加量 0.4;. ここで, C m は t 時における平均濃度 Co は初期濃度,
を示した;3. 0 。 Cs は平衡濃度, F は lanoitcrF Saturion を表し,
。
ここで,試片幅 拡散常数 D ,時間 t,試片の形状因子 L に関係し,無次
短 02.
0 0C
の形状に 9
O.J d 元化した数値、/0 正 L
/ の関数で表される.
あたりで相の変 II 形状が球形の場合には, F と
、/D.t /L との関係は直
化がみられた 味002 D.
004 006 008 0001 0011 即
日 線部と曲線部とにわかれ,直線部に対しては
が,これは S02 加熱;且皮,で F=3.385 、
/D.t L/
ガスによって生 図 3
試片加熱温度と S02 ガ ス に 曲線部に対しては
成 さ れ た FeO よる硫黄増加量 D・
/t L2= -0.05042-0.23 log(l-F)
及び FeS の共晶温度は 049 0C であること, Fe と FeS の式で表される.
の共品温度が 589 0C であることにより,それらの共晶組 これら D ,t,L をキュポラの条件に合わせて,固体
成のところから部分的に溶融が始まり,全般的に進行し 地金と溶湯の F の値を求めてみると,次のようになる.
ていった,とみることができょう. まず予熱帯の温度に相当する 1,
00C における鉄に
またこの実験では,硫黄量の高い試片及び鋼の試片も 対する硫黄の拡散常数として, inelsekniF 8) の提出し
併せて S02 ガスで流気したが,とくに銑鉄試片との聞 た資料から,計算に用いる数値として 2-7 X -O1 01 cm 2/
( 63 )
キュポラ溶解における硫黄の挙動 725
の吸収を続ける
.6 結 言
ことができるの
で,予熱帯の国 キュポラ溶解におけ一る硫黄の挙動について,次の点が
体地金は逆の傾 確認された.
向を示す,とい )1 予熱帯における国体地金表面にも,硫黄を含んだ
い得ょう. 薄い酸化膜が生成されるが,実質的な硫黄増加はない.
以上の実験と )2 溶解帯では,溶滴は急激に硫黄を吸収し,全加硫
考察から,予熱 量の 60-80% に達する.これは,溶湯と硫黄系ガスと
OJ
帯におけるより の反応速度が固体のそれと比べてきわめて高いことと,
も溶解帯におい 図 4 F に対する、/1)正 /L の関係 鉄中の硫黄の拡散速度,形状因子などの物理的要因も吸
て,地金の硫黄 と固態地金及び溶滴の範囲 収を促進することはよるものである.
吸収は急速に促進される,ということの理由が明らかに )3 湯だまり部でもかなり多くの硫黄を吸収する.こ
されたと考える. れは,コークス中の 2S ガスがその供給源である.
)4 銑鉄の場合には鋼の場合に比べて加硫量が少ない
.5 溶湯の炉内脱硫の可能性についての考察
ことがわかった.これは,鋼に含まれている C ,iS が銑
キュポラ溶解に使われる石灰石は,コークスに生成さ 鉄のそれに比べて低いので, CaO による脱硫が進行し
れる灰の洗浄にとって効果があるが,同時に脱硫作用も にくく,しかも酸化されて溶解されるため, FeO が多く
持っている.まず溶解帯では,石灰石の熱分解により生 生成し, CaO の脱硫を阻害するためである,と判断し
成した CaO 粉末は,溶滴と接触し,次の反応により脱 た.
硫が進む. なお,この研究の実施にあたり,御指導を仰いだ早大
(%CJ 十 (%SJ +CaO ,= CaS+CO ・・・・・ 一(6) 加山教授,協力をいただいた笹原,山中,中江,炭本の
lL G O =24 ,
10-25. 38T 的 諸氏,その他関係各位に対して心からの謝意を表する.
lM%SiJ+C%SJ+CaO=CaS+ j2S
1
i02 …(7)
lL GO=-60 ,
940 十.81 )4T16 文 献
( 73 )