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鉱 山 地 質(MININGGEGLGGY), 36(2), 83∼100, 1986

ペ ル ー 国 コ ロ コ ワイ コ銅 鉱 床 の 探 鉱

特 に 南 部 ス カル ン帯 につ い て*

相 沢 直 人**・ 冨 沢 尚 明**

Prospecting of Coroccohuayco copper deposit, Peru-with special reference to southern

skarn zone-By Naoto AIZAWA** and Nao0aki TOMIZAWA**

Abstract: The Coroccohuayco copper deposit was discovered in the Andes of southern Peru in 1975 by joint work bet-
ween Minero Peru and Overseas Mineral Resources Development Co., Ltd. The deposit is embedded in concealed
skarn zone replacing a limestone part of sedimentary rocks in the form of large xenolith in dioritic batholith and has not
any surface showing.
The prospecting work started at 1974 after the result of cooperative mineral exploration by governments of Peru
and Japan from 1971 to 1973. At the first phase of the exploration, the main target was aimed to find out a stockwork
and disseminated copper deposit but it was not succeeded. However, information drillings to be carried out in the IP
anomaly zone in Coroccohuayco area caught a small part of copper mineralized skarn below dioritic batholith. In the
light of the fact, detailed geological survey and magnetic survey were carried out there, and the existing IP data were
also re-studied in 1976. As a result of works, it was assumed that mineralized skarn has sited in the IP simulation model
area. At the second phase, drillings were planned in the IP model area to find skarn type copper deposit. Drilling
resulted in obtaining the concealed high grade skarn type copper deposit in the "Southern Skarn Zone" of the Coroc-
cohuayco area. Ore reserves has been calculated to be 15.2 million tons with Cu 2.88%.
Limestones of Ferrobamba formation of middle Cretaceous in age were skarnitized in two periods of Stages-1
and-2. Stage-1 took place with the activity of late Cretaceous dioritic batholith to form silicate minerals such as diopside
and garnet. Stage-2 took place with the intrusion of Palaeogene acidic porphyritic rocks in dyke and stock forms to bring
hydrothermal alteration such as carbonitization. Those igneous activities are seemed to have been the same magma
origin but in defferent time.
Mineralization was accompanied by skarnization of both of Stages-1 and -2. Iron mineralization of mainly
magnetite followed skarn mineral formation in Stage-1. Copper mineralization took place with hydrothermal car-
bonitization in Stage-2. Copper ore minerals are composed mainly of chalcopyrite, bornite and chalcocite, especially the
latter two minerals are abundant. On the other hand, pyrrhotite, pyrite, sphalerite being common in skarn type deposit
are not recognized in the main copper mineralized zone in the Coroccohuayco. Consequently primary ore solution is
seemed to have been rich in copper but poor in iron under the condition of high CO2 partial pressure.

15,000km2の 広 大 な 地 域 か ら銅 鉱 床 胚 胎 有 望 地 域 と して
1.は じ め に
抽 出 され た.こ の地 域の有望 性 に着 目したペル ー政府
ペ ル ー 国 南部 の コ ロ コ ワイ コ地 域 は,日 本 ・ペ ル ー両 は,引 き続 き 民 間 ベ ー ス に よ る 日本 側 の 協 力 を得 た い 意
国 政 府 間 技 術 協 力 の 一環 と して,昭 和46年 度 か ら同48年 向 を 日本 政府 宛 に示 した,こ れ を受 け,通 商 産 業 省 よ り
度 ま で の3年 間 国 際協 力 事 業 団 と金 属 鉱 業 事 業 団 に よ る 推 薦 され た海 外 鉱 物 資 源 開 発(株)(以下 「海 外鉱 発 」 と い
資 源 開 発 協 力 基 礎 調 査(G-G調 査)に よ っ て,面 積 う)は,日 本 側 民 間 を代 表 して 昭 和49年2月22日,ペ ル
ー側 代 表 の ミネ ロ ・ペ ル ー(ペ ル ー 鉱 山公 社)と の 間 に ,
1986年2月24日 受 付,同 年3月14日 受理
*1986年6月3日 日本鉱 業協 会 第33回 全 国鉱 山探 査 現場 コ ロコ ワイ コ地 域 の探 鉱 お よ び開 発 に関 す る基 本 ・
的事 項

担 当者 会議 で講 演
**海 外 鉱 物 資 源 開 発 株 式 会 社(Overseas Mineral Resources に つ い て の覚 書 を締 結 した.

Development Co., Ltd., 8-1, Toranomon 2-chome, 昭 和49年8月1日 付 に て,ペ ル ー 政 府 は前 記 コ ロコ ワ


Minato-ku, Tokyo105) イ コ 地 域 を 含 む 南 北12km,東 西10km,面 積 約120
Keywords: Coroccohuayco, Huaccollo, Tintaya mine, Fer-
km2の 範 囲 に 国 家 特 別 鉱 業 権(Decreto Supremo No 18-
robamba formation, Tintaya Batholith, Acidic porphyritic
rocks, Stockwork and dissemination type, Skarn type, IP 74-EM/DGM)を 設 定 し,同 特 別 鉱 業 権 を ミ ネ ロ ・ペ ル

simulation model, Hypogene replacement ー に付 与 し


,海 外 鉱 発 一 ミ ネ ロ ・ペ ル ー に よ.る共 同 探 鉱

83
84相 沢直 人 ・冨沢 尚明 鉱山地質:

が 開 始 され た.

共 同探 鉱作 業 は,昭 和53年 か ら56年 ま での4年 間 の 中


断を は さみ,昭 和58年 ま で6年 間 実 施 さ れ た.そ の結

果,コ ロ コ ワ イ コ 南 部 ス カ ル ン帯 に お い て,埋 蔵鉱 量
15,225千t,Cu品 位2.88%の 潜 頭 性 ス カル ン型 銅 鉱床 を

確 認 す る に 至 っ た.し か しな が ら,昭 和59年 に 実 施 され


た企 業 化 調 査 で は,折 か らの 金 属 価 格 の 低 迷 等 で,直 ち

に 開発 に 移 行 す るこ とは 困 難 と判 断 され た.現 在,ペ ル
ー側 と共 同 で 今 後 の 本 プ ロジ ェ ク トの 進 め 方 に つ い て協

議 中 で あ る.
なお,本 プ ロジ ェ ク トは 金 属 鉱 業 事 業 団 に よ る海 外探

鉱 出融 資 制 度 の うち,昭 和49年 度 に 新 設 され た 出 資制 度
の 第1号 対 象 事 業 と して 海 外 鉱発 が 同事 業 団 よ り50%,

民 間 側(住 友 金属 鉱 山(株),三井 金 属鉱 業(株),三菱 金属(株),


同 和 鉱 業(株),日 本鉱 業(株)およ び 古 河 鉱業(株)の6社)よ り
50%の 出 資 を 受 け実 施 して い る もの で あ る.

本 稿 で は 日本 ・ペ ル ー政 府 間協 力調 査 お よ び 引 き続 く
民 間 ベ ー スの 探 鉱 作 業 の概 要 を記 述 し,そ の進 展 に伴 う

探 鉱 目標,探 鉱 指 針 の 変 遷 な どにふ れ な が ら,潜 頭 性 の

高 品 位 銅 鉱 床 発 見 の 成 果 を得 るに 至 った 経 緯 お よ び鉱 床
の 成 因,特 徴,獲 得 鉱 量 等 につ い て述 べ,最 後 に本 プ ロ
第1図 位 置 ・交 通 図
ジ ェ ク トの 合後 の 課題に 言 乃する.

低−7.0(7月)
2.位 置 ・交 通
植 生 は 森林 限 界上 の 草 原 区 で,標 高4,500m以 上の高
コ ロ コ ワイ コ銅 鉱 床 は ク ス コ 県 エ ス ピナ ー ル 郡 に あ 所 で は ま ば らに雑 草 が 生 え て い る だ け で あ る が,そ れ 以
り,首 都 リ マ 市 の 南 東 直 距 離 約700km,最 寄 りの集 落 下 の所 で は,ま れ に低 木 がみ られ る.
ヤ ウ リ 町 の 南 東 直 距 離25kmの 南 緯14°57',西 経71°16'
4,一 般地質概要
に 位 置 す る.リ マ 市 よ り 本 地 域 へ の 交 通 は,イ ンカ 帝 国

の 古 都 ク ス コ 市(標 高3,399m),あ る い は 国 内 第2の 都 コ ロコ ワイ コ地 域 を含 め ヤ ウ リ盆 地 付 近 の 地 質 は,中

市 ア レ キ ー パ 市(2,329m)ま で 航 空 機 で 約1時 間,そ れ ∼下 部 白亜 系 と され る堆 積 岩 類 お よ び これ に 貫 入 した 深

以 降 は 砂 利 道(一 部 舗 装)を 車 に よ り,ク ス コ よ り267 成岩 類 と酸 性 斑 状 岩 類,さ らに これ らを不 整 合 に 覆 う上


km,約4時 間,ア レ キ ー パ よ り248km,約4時 間 にて 部 第三 系 湖 沼性 堆 積 岩 類 よ りな る.
到 達 す る(第1図). 中∼ 下 部 白亜 系 堆 積 岩 類 は,ヤ ウ リの 西 側 と東 側 の 地

域 で は岩 相,化 石 相 を異 に し てお り,西 か ら東 へ 向 う海
3.地 形 ・気 象 ・植 生
進 を示 す 堆 積 環 境 に あ っ た と推 定 され る.コ ロ コ ワイ コ
調 査 地 域 は ア ン デ ス 山 脈 の 中 央 平 原 に あ り,地 形は標 地域 は ヤ ウ リ西 側 地 域 の 岩 相 に よ り類 似 し,下 部 白亜 系
高4,000∼4,200mの な だ ら か な 丘 陵 地 帯 と,そ の西∼ の ワ ル ワ ニ,ム ル コ両 層,中 部 白亜 系 の フェ ロバ ンバ 層

南 を 囲 む4,500m以 上(最 高4,702m)の 山岳 地 帯 であ に相 当す る地 層 が分 布 してい る.

る.付 近 を ア マ ゾ ン 河 源 流 の1つ,サ ラ ー ド川 が 流 れ て 深 成 岩 類 と して は ヤ ウ リ地 域 に3つ の バ ソ リス が 分 布


い る. す る.こ の うち斑 れ い 岩 ない し閃 緑 岩 の 複 合 岩 体 をな す
気 候 は 高 地 寒 冷 型 に 属 し,季 節 風 の 影 響 で 乾 期(4∼11 チ ン タ ヤ ・バ ソ リス が コ ロ コ ワイ コ地 域 か ら北 西 方 の チ
月)と 雨 期(12∼3月)が あ る.昭 和49∼52年 の 雨 量 ・気 セ タ ヤ 地 域 に か け,延 長 方 向 約25㎞,幅 約5kmで 連
温 の 山 元 観 測 デ ー タ を ま と め る と 次 の 通 り で あ る. 続 して分 布 して い る.本 バ ソ リス の 活動 時 期 はK-Ar年
月 間 平 均 雨 量(mm):乾 期14.7,雨 期158.2 代測 定 等 に よ り,ジ ュ ラ紀 末 期 か ら 白亜 紀 中 期 に わ た る
最 高 ・最 低 月 間 平 均 気 温(°C):最 高17.9(11月),最 も の と され て い る.し か し,被 貫 入 堆 積 岩 類 の 地 質 年 代
36(2),1986ペ ル ー 国 コ ロ コ ワイ コ銅 鉱 床 の 探 鉱85

第3図 ペ ル ー 南 部 鉱 床 分 布 図(SANTA CRUZ et al,1979)

西 部 ア ン デ ス 鉱 床 生 成 区(Provincia Metalogenica Oc-

cidental)に 属 す る 南 部 山 間 鉱 床 生 成 亜 区(Faja Intercor-

dillera del Sur)中 の 銅 一 鉄 鉱 床 地 帯(Area de Cobre-

Fierro)南 東 部 に 位 置 し て い る(第2図).こ の銅一 鉄鉱

第2図 ペ ル ー 鉱 床 区(PONZONI, 1980) 床 地 帯 は, NOBLE et a1.(1984)に よ る ア ン ダ ワイ ラ ス ー

ヤ ウ リ 帯(Andahuaylas-Yauri Belt)に ほ ぼ 一 致 し て い る.

と の関 係 か ら,い くつ か の 問 題 点 が残 され て い る. 本 地 帯 に は 多 数 の ス カ ル ン 型 鉄 ・銅 鉱 床 が 知 ら れ て お

酸 性 斑 状 岩 類 は 岩株,岩 脈 状 に 貫 入 し,岩 質 は 主 に モ り,チ ン タ ヤ,ス ル ホ バ ン バ,チ ャ ル カ ス,チ ャ ル コバ

ン ゾニ岩 で,コ ロコ ワイ コ地 域 お よ び近 隣 のチ ン タ ヤ, ン バ 等が 著 名 で あ る(第3図).こ れ ら 鉱 床 の 大 部 分 は,

ケ チ ュア,ア タ ラヤ の 各 地 域 にお け るK-Ar年 代測定 で ジ ュ ラ 紀 後 期 か ら 白 覃 紀 の 石 灰 質 岩 層 と,白 亜紀ない し

は,25∼73Maが 得 られ,主 に 古 第 三 紀 の 活 動 とされ て 古 第 三 紀 の 石 英 モ ンゾ ニ 岩 質 岩 体 と の 接 触 部 付 近 に 胚 胎


い る(第1表). し て い る.

5.2コ ロ コ ワ イ コ周 辺 鉱 床 群 の概 要
5.ペ ル ー の 鉱 床 生 成 区 と コ ロ コ ワイ コ銅 鉱 床 コ ロ コ ワ イ コ鉱 床 近 隣 に は,北 西 直 距 離8kmに 昭和
の位置
60年6月 よ り生 産 開始 の チン タ ヤ 鉱 山(露 天掘,8,000t/
5.1鉱 床 生 成 区 と コ ロ コワ イ コ銅 鉱 床 日,Cu2%),西 直 距 離16kmに ス カ ル ン型 の ア タ ラ ヤ
ペ ル ー の 金 属 鉱 床 生 成 区 に つ い て は,BELLIDO et al. 鉱 山(坑 内 掘,最 大800t/日,Cu2.5%),南 西 直 距 離6

(1969), PONZONI(1980)ら に よ つ て,鉱 床 の 分 布,鉱 種 kmに は 現 在 日本 企 業 が 開 発 検 討 中 の 細 脈 網 状 鉱 染 型 ・

等 を 基礎に 区 分 さ れ て い る.両 者 の 区 分 に は基 本 的 な差 一 部 スカ ル ン型 の ケチ ュ ア銅 鉱 床 が あ る(第3図).

異 は 認 め られ な い が,全 体 と し て 後 者 の 方 が 詳 し く区 分
6.コロ コワイ コ嗣 鰹 の地質 ・鉱化帯
し て い る.
コ ロ コ ワ イ コ 銅 鉱 床 は , PONZONI(1980)の 概要本 特 別 鉱 区 は,大 観 して,北 西部,南 部 お よび 北 東部
区 分 で は,
86相 沢 直人 ・冨 沢尚 明 鉱 山地 質:

第4卩 図 コ ロ コ ワイ コ特 別 鉱 区 地 質 図 ・断 面 図
(1):カ ケ ・ス カ ル ン 帯,(2):ワ コ ー ジョ ・破 砕 帯,(3):ワ コ ー ジ ョ ・ス カ ル ン 帯,(4):コ ロ コ ワ イ コ ・北 部 ス カ ル ン

帯,(5):コ ロ ゴ ワ イ コ ・南 部 ス カ ル ン 帯,(6):南 部 珪 化 帯
36(2),1986ペ ルー 国 コ ロ コ ワ イ コ銅 鉱 床 の 探 鉱87

第1表 ヤ ウ リ盆 地 周辺 の地 質層 序表

の地 質 単 元 に 分 類 され,際 立 った 差 異 を示 す. 層 厚 は150∼200mで 化 石 は 産 し な い.

北 西 部 の ワコ ー ジ ョ地 域 は,そ の 大 半 が ワ ル ワ ニ,ム (3)フ ェ ロバ ンバ 層:ワ コー ジ ョ地 域 か らコ ロコ ワイ


ル コ,フ ェ ロバ ンバ の 各 層 に 対 比 され る堆 積 岩 類 で 占 め コ地 域 に か け て 広 く分 布 す る灰 な い し黒 色塊 状 石 灰 岩 で

られ る が,南 部 の コ ロ コ ワイ コ地 域 に はチ ンタ ヤ ・バ ソ あ る.本 層 は 各 所 でス カル ン化 を受 け,磁 鉄 鉱 ・赤 鉄 鉱

リス の 南部 分 が広 く分 布 す る.ま た,こ れ ら両地 域 に は を伴 う大 小 の ス カ ル ン露 頭 が 見 られ,こ の よ うな ス カ ル


酸 性 斑 状 岩 類 が 岩 株,岩 脈 状 に貫 入 して い る.一 方,北 ンが コ ロ コ ワイ コ銅 鉱 床 の 鉱 床 母 岩 を構 成 して い る.下

東 部 一 帯 に は,こ れ ら諸 岩 類 を不 整 合 に覆 っ て デ ス カ ン 位 の ム ル コ層 を広 域 的 に は不 整 合 に覆 うが,当 鉱 区 で は
ソ層 が広 く分 布 す る(第4図). 見 掛 上 整 合 的 で あ る.層 厚 は400∼500mで,三 畳 紀か
6.1堆 積岩類 ら 白亜 紀 の 化 石 を産 す る.

(1)ワ ル ワ ニ層:本 鉱 区 の 最 下 底 層 で,ワ コ ー ジ ョ地 (4)デ ス カ ン ソ層:本 鉱 区 の 北 東 部 に広 く分 布 し,湖


域 に 露 出 し て い る.岩 相 は 白 色 緻 密 な 塊 状 珪 岩 を主 と 沼堆 積 性 の 凝 灰 岩,シ ル ト岩,砂 岩 等 よ りな る.下 位 層
し,黒 な い し灰 色 頁 岩 を挟 在 し て い る.層 厚 は600m お よ び 火 成 岩 類 を不 整 合 に 覆 う.層 厚 は500m以 上 と

以上 と推 定 され る.化 石 は 発 見 され て い な い. 推 定 され る.
(2)
ムル コ層:主 に ワ コー ジ ョ地 域 に分 布 す る が,一 5.2火 成岩類

部 は コ ロ コ ワイ コ地 域 の 東 部 に も見 られ る.こ の ほ か コ 火 成 岩 類 と して は,コ ロ コ ワイ コ地 域 に チ ンタ ヤ ・バ
ロ コ ワイ コ の 地域 の ス カ ル ン帯 に お い て,バ ソ リス に取 ソ リス の 南 部 分 が 膨 ん で広 く分 布 し,鉱 区 西 側 一 帯 に は

り込 まれ,地 下深 所 に 存 在 して い る もの が ボ ー リン グ に 岩株,岩 脈 状 の 酸 性 斑 状 岩 類 が数 多 く見 られ る.
よ っ て確 認 さ れ て い る.岩 相 は 黒 色 頁 岩,黒 な い し灰 色 チ ンタ ヤ ・バ ソ リス は斑 れ い岩 と通 称 され て い るが,
・帯 赤 色 お よ び 帯 緑 色 砂 質 頁 岩 含 輝 石 閃 緑 岩 か ら角 閃 石 斑 れ い 岩 ま で の 岩 相 を示 し,組
,凝 灰 質 砂 岩 等 か ら な
り,ワ コー ジ ョ地 域 で は 珪 化,緑 簾 石 化,緑 泥 石 化 作 用 織 も粗 粒 か ら細 粒 ま で変 化 の 激 しい 複 合岩 体 で あ る.コ
を受 け,岩 質 別 に縞 状 を呈 す る と こ ろ が多 い.石 灰 質 な ロ コ ワイ コ地 域 で は フ ェ ロバ ンバ 層 等 の堆 積 岩 類 を捕 獲

部 分 で は,一 部 ス カ ル ン化 を受 け ザ ク ロ石 一 緑 色 ス カル 挟 在 す る場 所 も知 られ て い る.

ン鉱 物 が で き てい る.下 位 の ワル ワニ 層 を整 合 に 覆 う. 本 バ ソ リスの 活 動 は,当 鉱 区 内 の数 カ 所 で 見 られ る磁


88相 沢 直 人 ・冨 沢 尚 明,鉱 山地 質:

鉄 鉱 を多 量 に 含 むス カル ン帯 の ス カル ン化 ・磁 鉄 鉱 化 作 NNE-SW∼SSW, NW-SEの2系 列 の断 層 に 切 られ て い

用 に 密 接 に 関 係 して い る と考 え られ て い る. る.コ ロ コワイ コ地 域 で は,こ れ ら断 層 系 は火 成 岩 類 の

酸 性 斑 状 岩 類 に つ い て は,岩 相 の差,貫 入の 前 後 関 係 貫 入構 造 に影 響 を与 え,特 に酸 性 斑 状 岩 類 は これ ら方 向


等 に よ り,野 外 岩石 名 でPor-r(A),Por-r(B),Por-r(C) に 沿 い岩 株,岩 脈 状 に 貫 入す るこ とが多 い.
の3種 類 に 区 分 され て い る. 6.4鉱 化 ・変 質 帯

肉 眼 的 特 徴 と して は,Por-r(A)は 一般 的に細粒 組織 鉱 区 内 の 主 な 鉱化 ・変質 帯 と して,(1)磁 鉄 鉱 ・赤 鉄 鉱


で,長 石,石 英 お よ び部 分 的 に黒 雲 母 ま た は角 閃 石 の 斑 を伴 うス カ ル ン帯 で,部 分 的 に銅 鉱 化 の認 め られ る も の
晶 が 認 め られ る が,全 体 と して非 顕 晶質 組 織 を示 す もの 一 カ ケ(Ccaccue)・ ス カ ル ン帯 ,ワ コー ジ ョ ・ス カ ル ン

ま で岩 相 の 変 化 が激 しい.産 状 は普 通 岩 脈 状 小 岩 体 で あ 帯 お よ び コ ロ コ ワイ コ ・ス カ ル ン帯(潜 頭 性,主 として


る. ボ ー リン グ で確 認),(2)赤 鉄 鉱 ・褐 鉄 鉱 を伴 う破 砕 帯 一
Por-r(B)は 岩 相 変 化 の 少 な い 完 晶 質 斑 状 組 織 を示 す, ワ コー ジ ョ破 砕 帯お よ び(3)細脈 網 状 石 英 脈 群 を伴 う珪 化

有 色 鉱 物 は 角 閃 石 を主 と し,少 量 の雲 母 が 見 られ,場 所 帯 で,弱 い銅 鉱 化 の認 め られ る もの一 コ ロコ ワイ コ ・南


に よ って は優 黒 色 を呈 す る.産 状 は岩 株 状 のや や 大 型 岩 部 珪 化 帯 の3種 類 が 知 られ,計6個 所 が挙 げ られ る(第

体 か ら岩 脈 状 小 岩 体 ま で多 岐 に わ た る. 4図).

Por-r(C)は 完 晶 質 斑 状 な い し斑 状 組 織 を呈 し,岩 相
7.探 鉱 の 経 緯 と潜 頭 性 銅 鉱 床 の 発 見
も多 少 変 化 し,一 般 にや や 粗 粒 で 白 色 が か っ て見 え る.

有 色 鉱 物 は 黒 雲 母 が主 で角 閃石 も認 め られ る.産 状 は岩 7.1資 源 開 発協 力 基 礎 調 査(G-G調 査)

脈 状 の こ とが 多 い. 本 調 査 は昭 和46年 度 か ら48年 度 ま での3年 間,ペ ル ー

貫 入 順 序 に つ い て は,Por-r(A)はPor-r(B)お よび 国 南 部 ヤ ウ リ地 域,面 積 約15,000km2を 対 象に実 施 さ


Por-r(C)を 明 瞭 に 切 っ て い る の で最 末 期 の 活 動 で あ る れ た.
が,Por-r(B)とPor-r(C)と の関係 は 後者が前者 を明 ら 昭 和46年 度 に は全 域 の地 質 踏 査,空 中写 真 地 質 調 査,
か に 切 っ てい る現 象 が観 察 され る一 方,漸 移 的 に変 っ て 空 中 磁 気 探 査,昭 和47年 度 に は 第1次 有 望 地 域5,950
い る所 も認 め られ る. km2に 対 し地化 学 探査,重 力 探 査 が 行 わ れ,コ ロ コ ワイ

以 上 の 観 察 結 果 か ら,Por-r(A),Por-r(B)お よ びPor- コ 地 域 を含 む32km2(4km×8km)の 範 囲 が 第2次 重 要

r(C)の 三 者 は 本 源 的 に は 同 一 マ グ マ か らの 分 化 岩 で あ 有 望 地 域 と して抽 出 され た.昭 和48年 度 に は この 地 域 に


り,活 動 順 序 と して は,ま ず 深 成 な い し半 深 成 のPor- N67°E-567°W方 向,長 さ4kmの 測 線41本 が200m間

r(B)の 貫 入 が あ り,こ の 周 縁 相 と して,あ るいはわ ず 隔 に殼 定 され,こ の測 線 をベ ー ス と して地 質 精 査,地 化


か に遅 れ た 半 深 成 活 動 に よ っ てPor-r(C)が 形 成 され, 学 探 査,IP探 査,ボ ー リン グ が実 施 され た(国 際協 力 事
さ ら に これ ら よ りか な り遅 れ て 浅 所 形 成 のPor-r(A)が 業 団 ・金 属 鉱 業 事 業 団,1974).
貫 入 した もの と考 え られ る. こ の結 果,以 下 の所 見 が得 られ,次 年 度 以 降 の コ ロ コ

酸 性 斑 状 岩 類 の 鏡 下 の 観 察 で は,Por-r(A)は 石英安 ワイ コ特 別 鉱 区 に対 す る民 間 ベ ー スの 探 鉱 の 基 礎 とな っ

山 岩 な い し両 雲 母〓 岩,Por-r(B)は 閃 雲 竕 岩 な い し斑 た.
状 石 英 モ ン ゾ ニ岩,Por-r(C)は グラ ノファイ アーな い (1)ワ コー ジ ョ地 域 で は,長 さ約3,000m,幅 約700
し石 英 モ ン ゾ ニ〓 岩 に 分類 され る. mの ほ ぼ 南 北 に連 続 し,IPお よび地化探異 常の重 複す
これ ら酸 性 斑 状 岩 類 の活 動 は,コ ロコ ワイ コ銅 鉱 床 を る地 域 が捕 捉 され た.本 異 常 帯 と ワ コー ジ ョ破 砕 帯 とが
形 成 した 熱 水 性 炭 酸 塩 化 作 用 お よ び銅 鉱 化 作 用 を もた ら ほ ぼ オー バ ー ラ ップ して い る こ と,お よび そ の 南 西 延 長
した と考 え られ,特 にPor-r(B)お よ びPor-r(C)は 主た に は細 脈 網 状 鉱 染 型 の ケ チ ュア 銅 鉱 床 が位 置 して い る こ
る運 鉱 岩 とみ られ,自 ら も一部 で は 強 い銅 鉱化 を受 け て と(吉川 ほか,1976)を 理 由 に,本 異 常 帯 に は 斑 状 岩 類 の
い る.Por-r(A)は 鉱 化f乍用 の 末 期 な い し後 鉱 化 作 用 期 貫 入 に よ っ て も た らされ た 同 じ型 の 鉱 化 帯 の 胚 胎 す る可
に 貫 入 した と考 え られ,一 部 に 弱 い 粘土 化 お よ び 微弱 な 能 性 が あ る.
銅 鉱 化 が認 め られ る もの の,一 般 的 に は 未 変質,未 鉱 化 (2)コ ロ コ ワ イ コ 地 域 で は,長 さ 約2,000m,幅 約

の もの が 多 い. 500mの 南 北 に 連 らな るIP異 常 帯 が,弱 い地化探 異常


6.3地 質構造 と ほ ぼ重 複 して捕 捉 され た.本 異 常 は閃 緑 岩 質 バ ソ リス
ワ コ ー ジ ョ地 域 で は,堆 積 岩 類 はNNW-SSE方 向の に 貫 入 して い るNNW-SSE方 向 の 岩 株,岩 脈状酸 性斑
向 斜 軸 ・背 斜 軸 に よ り波 状 褶 曲 し,直 交 す るNE∼ 状 岩 類 に伴 った 変 質 ・鉱 化 に 起 因 す る と考 え られ る.こ
36(2),1986ペ ル ー 国 コ ロ コ ワ イ コ 銅 鉱 床 の 探 鉱89

第5図 コ ロ コ ワイ コ地 域 探 鉱 図
90相 沢 直 人 ・冨 沢尚 明 鉱 山地質:

の 中 で も特 に本 異 常 帯 の南 部 に位 置 し,珪 化 斑 状 岩 類 が 磁 力 探 査 では,ワ コー ジ ョ ・ス カ ル ン帯 の 分 布 とほ ほ

密 集 分 布 す る南 部 珪 化 帯 が細 脈 網 状 鉱 染 型 銅 鉱 床 胚 胎 の 一 致 し て強 磁 性 体 の 存 在 を示 す 低磁 気 異 常 が 顕 著 に 現 出

最 有 望 区 域 とみ な され る(第4図). し た ほ か,コ ロ コ ワイ コIP異 常 帯 に ほ ぼ 重 複 す る範 囲

7.2細 脈 網 状 鉱 染 型 銅 鉱 床 の 追 跡(昭 和49年 度) に延 長 約1,000mに わた る 同様 の低 磁 気 異 常 帯 が検 出 さ


G-G調 査 の 成 果 を踏 ま え,海 外 鉱 発 一 ミネ ロ ・ペ ル れ,ス カル ン帯 潜 在 の 可 能 性 を窺 わ せ た.
ー の 共 同 探 鉱 が 開 始 され た .作 業 は ま ず 主 目標 の 前 掲2 一方
,主 要 ス カ ル ン帯 に 対 す る構造 ボ ー リ ング で は,
地 域 につ い て 地 質 精 査,構 造 ボ ー リ ン グ を実 施 す る 一 カ ケ,ワ コー ジ ョ両 ス カ ル ン帯 に お い て は,良 好 な銅 鉱

方,鉱 区 全 域 に 地 質 調 査,地 化 探 概 査 を,ま たG-G調 化 帯 は 捕 捉 で き な か っ た が(第4図,OM-17,18,19),


査 範 囲 東 側 に はIP探 査 を そ れ ぞ れ 実 施 して,ほ か の有 コ ロ コ ワイ コ 地 域 ではIP応 答 体 モ デ ル と低 磁 気 異 常 デ

望 個 所 の発 見 を 目指 した. ー タ に基 づ き
,既 存 のOM-11孔 近 傍 で実 施 した5本(第
こ の結 果,ワ コ ー ジ ョ地 域 で は,全 体 的 に わ ず か な黄 5図,OM-13,14,15,16,21)で 地表 下200∼400mに お

鉄 鉱 と岩 脈 状 斑 状 岩 類 周 辺 部 に若 干 の銅 鉱 化 作 用 が認 め い て,閃 緑 岩 質 バ ソ リス に取 り囲 まれ る よ うに 賦 存 す る

られ た に止 ま り,さ らに最 も期 待 の持 たれ た コ ロ コ ワイ ス カ ル ン鉱 化 帯 を捕 捉 し,期 待 を上 回 る成 果 を得 た .


コ地 域 南 部 珪 化 帯 で も珪 化 酸 性 斑 状 岩 類 お よ びそ の 周 辺 こ の よ うに して,コ ロ コ ワイ コ地 域 では ス カル ンの 分

部 で の 銅 鉱 化 作 用 が微 弱 で,か つ 斑 状 岩 類 の 規 模 も当 初 布 とIP応 答 体 モ デ ル との 関 連 性 が ま す ま す 高 くな り,
の推 定 よ り狭 小 であ る こ と が判 明 し,両 地 域 と も好 結 果 潜 頭 性 ス カ ル ン鉱 化 帯 の 追 跡 にIPデ ー タ が 有 効 と考 え
が 得 られ な か った.し か しな が ら,コ ロ コ ワイ コ地 域 の られ る に至 った.こ れ に 基 づ き,こ れ ま でに 実 施 され た
IP異 常 帯 の 中 ∼ 北 部 で実 施 され た 構 造 ボ ー リン グ(第5 8本 の 着 鉱 ボ ー リ ン グ の デ ー タ,地 質 構 造 お よ びIP応
図,OM-4,5)に よ り,閃 緑 岩 質 バ ソ リ ス の 深 部 に 堆 答 体 モ デ ル 範 囲 を総 合 して 潜 頭 性 ス カ ル ン帯 の賦 存形 態
積 岩 の レ リ ック を伴 う銅 鉱化 ス カ ル ンが捕 捉 され,さ ら を検 討 した,そ の 結 果,コ ロコ ワイ コ地 域 の ス カ ル ン帯
にそ の地 表 部 で も,閃 緑 岩 に捕 獲 され て い る 小型 レ ンズ はNNE-SSW方 向 に 伸 長 し な が ら も,そ の 中 央部 で

状 砂 質 堆 積 岩 が ス カ ル ン化(弱 陽 起 石 化),珪 化 等 の変 質 NW-SE方 向 にや や 左 ず れ して,2つ の ブ ロ ック に 分 か

を受 け て い る こ と が観 察 され た. れ て 分 布 す る ら し い こ と が 判 明 した,そ こ で,北 側 を
"コ ロ コ ワイ コ 北 部 ス カ ル ン帯"(約600×200
この よ うに 探 鉱 第1目 標 の 細 脈 網 状 鉱 染 型 銅 鉱 床 の 探 m),南 側
鉱 結 果 は 思 わ しくな か った が,一 方 では 地 下 深 部 に 銅 鉱 を"コ ロ コ ワイ コ 南 部 ス カ ル ン帯"(約600×300m)と

化 ス カ ル ンが わ ず か な が ら も捕 捉 され た 事 実 を重 視 し, 区 別す る こ と と した.
こ れ に 重 ね 合 せ て 既 応 のG-G調 査 デー タを再 吟味 し 7.4コ ロ コ ワ イ コ地 域 ス カル ン 帯 に お け る探 鉱 主 目

た. 標 の 設 定(昭 和51年 度)
そ の 結 果,捕 捉 され た銅 鉱化 ス カ ル ンは,IPのFE値 これ ま での 探 鉱 結 果 に よ り,コ ロ コ ワイ コ地域 に賦 存
か らシ ミュ レー トされ たIP応 答 体 モ デ ル の ほ ぼ範 囲 内 す る潜 頭 性 ス カル ン鉱 化 帯 が探 鉱 主 目標 とな っ た が,そ
に位 置 して い る こ とが わ か っ た.そ こ で,49年 度 の探 鉱 の 推 定 分 布 範 囲 が 延 長 約1,200m,幅200∼300mと か

末 期 に 至 り,IP応 答 体 モ デ ル とス カ ル ン分 布 との 関 連 な り広 い た め,"探 鉱 の 勢 力 分 散 を避 け,最 有 望 地 域 を


性 を探 る 目的 で,測 線L'ラ イ ン に シ ミ ュ レー トされ た 選 定 して,速 や か に ス カ ル ン鉱化 帯 の賦 存形 態 を確 認 す
IP応 答 体 モ デ ル に 対 して 構 造 ボ ー リン グ(OM-11)を 実 る"と の 探 鉱 方 針 が 打 出 され た.こ のた め,得 られ て い

施 した とこ ろ,閃 緑 岩 質 バ ソ リス の 分 布 す る深 部(地 表 る情 報 量 の 多 い コ ロコ ワイ コ 南部 ス カル ン帯 が 当面 の 精

下230m)に お い て,優 勢 な 銅 鉱 化 を伴 っ た ス カ ル ンに 密 探 鉱 の 対 象 とな り,同 北 部 ス カル ン帯 につ い ての 精 密


逢 着 し,IP応 答 体 モ デ ル とス カル ン帯 と の 関 連 性 が に 探 鉱 は保 留延 期 され た.
わ か に 注 目 され,細 脈 網 状 鉱 染 型 に も増 して ス カ ル ン型 南部 ス カル ン帯 に対 す る精 密 探 鉱 は,深 部 で の 銅 鉱 化

銅 鉱 床 に 対す る探 鉱 の 重要 性 が 高 ま っ た. ス カ ル ンの 賦 存 形 態 ・連 続 性 ・高 品 位 部 の 在 り方 の解

7.3ス カル ン型 銅 鉱 床 探鉱 へ の模 索(昭 和50年 度) 明,地 表 に点 在 す る ス カル ン との 関 係 の 確 認 を 目的 と し

前 年 度 の結 果 よ り,探 鉱 の 主 目標 をス カ ル ン型 銅 鉱 床 て,地 質 再 精 査 に よ る構 造 解 析 お よ び確 認 ボー リン グ が
に 移 す こ と と し,鉱 区 内 に見 られ る 主要 ス カル ン帯 を対 実 施 さ れ た.過 去2力 年 の ボー リ ン グはIP測 線 を基 に
象 に 構 造 ボ ー リン グ を実 施 す る と共 に,ス カル ン に普 遍 行 われ た が,51年 度 か らは 想 定 され るス カ ル ン帯 の 延 長
的 に 存 在 す る磁 鉄 鉱 に 着 目 し,磁 力 探 査 を実 施 し て潜 在 方 向 と,直 角 に 設 定 さ れ た 新 探 鉱 ライ ン(OM-21を 基
ス カ ル ン帯 の 追 跡 を行 った. 点,N70°W-S70°E方 向,ラ イ ン間 隔 約108m)上 で,
3
第6図IP応 答 体 モ デ ル と コ ロ コ ワ イ コ ・ス カ ル ン鉱 化 帯
92相 沢直 人 ・冨沢 尚 明 鉱 山地 質:

100mな い し150m間 隔 で 行 わ れ た. して い る岩株,岩 脈 状 酸 性 斑 状 岩 類 に よ り鉱 床 が擾 乱 さ

こ の 結 果,51年 度 の ボ ー リ ン グ7本 の 全 孔(第5図, れ て い る可 能 性 が あ る こ との理 由 か ら,坑 内掘 り鉱 山開


OM-22∼28)で,地 表 下150∼400mに 閃緑岩 質バ ソリ 発 に 最 少 限 必 要 と考 え られ る数 百 万tオ ー ダ ー の 埋 蔵 鉱
ス に 取 り 囲 ま れ て 賦 存 す る ス カ ル ン 鉱 化 帯 に 逢 着 し,鉱 量 確 保 を第1目 的 と し,各 探 鉱 ラ イ ン上 で50m間 隔と

量 数 百 万t,平 均Cu品 位3%以 上 の ポテ ンシ ャ ル を見 な る よ うに 計8本,2つ の ライ ン中 間 に そ れ ぞ れ1本 つ

込 め る ま で に な っ た. つ の 合 計10本 の ボ ー リ ン グ(第5図,OM-29∼38)が 実

新 探 鉱 ライ ン はIP測 線 と挟 角43°で 交 叉 す る た め, 施 され た.
ス カ ル ン鉱 化 帯 の 分 布 とIP応 答 体 モ デ ル と の直 接 的 な こ の 結果,全 孔 で ス カ ル ン鉱 化 帯 に逢 着 し,南 部 ス カ

関 係 は判 定 し難 くな っ た が,Cu富 鉱 部 は 同 モ デ ル を繋 ル ン帯 にお け る鉱 化 帯 の状 況 が か な り明 らか に な った の

い だ範 囲 内 に 納 ま って い る こ とか ら,両 者 の 相 関 性 は ま で,こ れ ま で の着 鉱 ボ ー リン グ23本 を対 象 に,探 鉱 ライ

す ます 確 か な もの と考 え られ る に至 っ た. ンお よび 中 間 ライ ンに8枚 の パ ネ ル を設 定 し(ボ ー リン

7.5南 部 スカ ル ン 帯 の 精 密 探 鉱 と予 察 的 企 業 化 調 査 グ を欠 く部 分 は ダ ミー ・ホ ー ル で補 完),パ ネル法に よ

(昭 和52年 度) っ て 埋 蔵 鉱 量 を試 算 し た と こ ろ,鉱 量770万t,Cu品 位

前 年 度 ま で の探 鉱 に よ り,南 部 ス カ ル ン帯 の概 要 が把 3,2%(カ ッ トオ フCu1%を 目途)の 結 果 が得 られ た.

握 さ れ た が,着 鉱 ボ ー リン グ が100m間 隔 以上 であ り, さ らに,こ れ を基 礎 と して,日 産 粗 鉱 量1,000tの 操


ス カ ル ン型 鉱 床 の特 徴 で あ る拡 りの不 規 則性 か ら考 え て 業 規 模 で予 察 的企 業 化 調 査 を試 み た 結 果,採 算 限 界 金 属

連 続 性 に疑 問 が持 たれ るこ と,お よ び ス カ ル ン帯 に貫 入 価 格 と して,銅 価85セ ン ト/ポ ン ド以上 が 必 要 と結 論 さ

第7図 南 部 ス カ ル ン 帯 の パ ネ ル ・ダイ ヤ グ ラ ム(N2∼S2/S3ラ イ ン)


36(2),1986ペ ル ー 国 コ ロ コ ワイ コ銅 鉱 床 の 探 鉱93

れ,直 ち に 開 発 に 移 行 す る こ と は 困難 との 判 断 で,探 鉱

は 一 時 中 断,休 止 の 状 態 に お かれ る こ と とな っ た.
7.6精 密探 鉱 再 開(昭 和57,58年 度)
ペ ル ー で は ,昭 和55年 に 政 権 の 民 政 移 管,翌56年 には

新 鉱業 法 の公 布 が あ り,国 策 と して鉱 山 開発 が 促 進 され
て い た.一 方,隣 接 す るチ ン タヤ 鉱 山 が昭 和60年 か らの

操 業 を 目途 に起 業 中 で あ り,付 近 の イ ン フ ラ ス トラ ク チ
ャ ー が整 備 されつつ あ っ た.
こ の よ うな環 境 の 変 化 を機 に,昭 和56年 度 に 南部 ス カ

ル ン帯 に 関す る デ ー タ を基 本 か ら見 直 し,再 検 討 した と

こ ろ,(1)鉱 量 増 加 の 期 待 され る探 鉱 余 地 が か な り残 され
て い る,(2)し た が っ て,追 加 探 鉱 を実 施 して埋 蔵 鉱量 を

再 評 価 し,こ れ をベ ー ス と し て 改 め て 企 業 化 調 査 を 行
い,鉱 山評 価 をや り直 して み る必 要 が あ る,と の 見解 が

得 られ た.こ れ に 基 づ き昭 和57年 度 か ら南 部 ス カ ル ン帯
に 対 す る 精 密 探 鉱 が 再 開 され,同58年 度 ま で 実 施 され

た.

探 鉱 は地 表 か らの確 認 ボ ー リン グ で,探 鉱 ライ ン は従

来 の ライ ンに 中 間 ライ ン を1本 追 加 して,54m間 隔計
9本 と し,ラ イ ン上 で は ほ ぼ50m間 隔 とな る よ うに,

2年 間 で 合 計14本(第5図OM-39∼52)が 実 施 さ れ,そ
の うち13孔 で期 待通 りの 着 鉱 がみ られ た.

これ に よ り,南 部 ス カ ル ン帯 は 合 計36本 の着 鉱 ボ ー リ 第8図 南部 スカ ル ン帯 の 主要 鉱物 と晶 出時期

ン グに よ っ て,精 度 の 高 い 埋 蔵 鉱 量 の算 出 に必 要 な ほ ぼ

50m×54mの 変 形 グ リ ッ ドが 完成 した.こ れ に 基 づ く 灰 岩 中 の 裂 か 沿 い に もス カ ル ン が形 成 され てい る.熱 水

埋 蔵 鉱 量 の 再 評 価 の 結 果,鉱 床 は 上 部 か ら下 部 へD, .性炭酸 塩 化 作 用 に よ る方解 石 を含 む広 義 の ス カ ル ンは 長

A,B,Cの4鉱 床 よ り な る こ とが 判 明 し,獲 得 埋 蔵 鉱 量 い形 成 期 間 を持 ち,(1)透 輝 石 一 ザ ク ロ石 形 成 期 お よ び,

は 後 述 の よ う に倍 増 した.特 にC鉱 体 は 最 大 で,全 体 (2)炭酸 塩 化 作 用 期 の2期 に 分 か れ て形 成 され た もの と考


の約80%を 占 め る(第7図). え られ る.

以上 の よ うな探 鉱 経 緯 に よ り,こ れ ま で に南 部 ス カ ル (1)透 輝 石一 ザ ク ロ石 形 成 期:酸 性 斑 状 岩 類 の 活動 に


ン帯 で 発 見,確 認 され て い る銅 鉱 床 を,"コ ロ コ ワイ コ 先 行 して,白 亜 紀 中 期 に 主 に活 動 した と され るチ ンタ ヤ

銅 鉱 床"と 呼 称 して い る. ・バ ソ リス の 貫 入 に 伴 って 形 成 した もの と考 え られ て い

7.7企 業 化 調 査(F/S)の 実施(昭 和59年 度) る.岩 相 変 化 の 激 しい 本 バ ソ リス の特 徴 か ら,特 に バ ソ

各 分 野 の 専 門 家9名 に よ る 現 地 調 査 を実 施 す る と共 リス 活動 末 期 に 起 った とみ られ る 閃緑 岩 質 岩 石 の 活動 が

に,山 元 保 管 の 分析 用 ボ ー リン グ コ アの 残 りか ら着鉱 部 この 期 の ス カ ル ン化 と密 接 に 関 係 した と考 え られ る(第

分 約150kgを 採 取 し,日 本 で 選 鉱 試 験 が 行 わ れ た(9.2 8図,Stage-1).

参 照). (2)炭 酸 塩 化 作 用 期:前 記 バ ソ リス と同 一 マ グマ 源 と


推 定 され,古 第 三 紀 に主 に 活動 した岩 株,岩 脈 状 酸 性 斑
8.南 部 ス カ ル ン 帯 の ス カ ル ン 化 ・鉱 化 作 用
状 岩 類 の 貫 入 活 動 に 伴 っ て発 生 した 作 用 で あ る と考 え ら
8.1ス カ ル ン の 形 成 期 と関 係 火 成 活 動 れ る(第8図,Stage-2).こ の 作 用 に よ っ て既 存 の 透 輝
南部 ス カ ル ン帯 ば,主 に 透 輝 石,ザ ク ロ石等 の ス カ ル 石 一 ザ ク ロ石 等 の 珪 酸 塩 ス カ ル ン鉱 物 が 炭 酸 塩 鉱 物(主
ン鉱 物 と,後 に もた ら.され た 熱 水 性 炭 酸 塩 化 作 用 に よ る と し て 方解 石)に 著 し く交 代 され て い る.な お,こ の期

方解 石 等 で構 成 され る.原 岩 は 白亜 系 フ ェ ロバ ンバ 層 石 に お い て も珪 酸 塩 ス カル ン鉱 物 が 既 存 の ス カ ル ンに オ ー

灰 岩 で,特 に そ の 下 盤 側 に 接 す る ム ル コ層 頁岩 ・砂 岩 類 バ ー ラ ッ プ して,多 少 は形 成 され た 可 能 性 も考 え られ る

との 境 界 沿 い に 強 い ス カル ン化 が見 られ る.こ の ほ か 石 が,現 在 ま で確 認 で き て い な い.
94相 沢直 人 ・冨沢 尚明 鉱 山地 質:

8.2ス カ ル ン 鉱 物 とス カ ル ン化 作 用 の 特 徴 鉄 鉱 化作 用 と,(2)後 期 の銅 鉱化 作用 が認 め られ る.
主要 ス カ ル ン鉱 物 は,透 輝 石 お よび ザ ク ロ石 で 一部 に (1)鉄鉱 化 作 用:多 量 の磁 鉄 鉱 お よび若 干 の初 生赤 鉄 鉱

緑 簾 石 を伴 い,ご く まれ に 透 角 閃 石,陽 起 石 等 の 角 閃 石 を生 成 せ しめ て い る.磁 鉄 鉱 は 外 見上 縞 状 構 造 をな して


類 が鏡 下 で 観 察 され る.鏡 下 で 透 輝 石 を切 るザ ク ロ石 が 配 列 す る こ とが 多 く,そ の 縞 は 一 般 に ス カ ル ンの 線構 造

見 られ,両 者 の 共 存 す る場 所 で は 透 輝 石 が 自形 を呈 し, とコ ン コー ダ ン トで あ る,鏡 下 で は,透 輝 石,ザ ク ロ石

ザ ク ロ石 は 半 自形 を示 す こ とが 多 い とい う理 由で,ま ず の 粒 間 あ るい は そ の 割 れ 目 を充 填 して,磁 鉄鉱 が 晶 出 し

透 輝 石 が,つ い で ザ ク ロ石 が 生 成 し,さ らに こ れ ら よ り て い る.磁 鉄 鉱 は 後 の 炭 酸 塩 化 作 用 に よ り,そ の 周縁 部

後 期 に緑 簾 石 お よ び 角 閃 石 類 が 生 成 した もの と考 え られ か ら,あ るい は そ の 割 れ 目沿 い に 赤 鉄 鉱化 され て い るこ
る.ス カ ル ン鉱 物 の 量 比 と して は ザ ク ロ石 が圧 倒 的 に 多 と が多 い.こ の 事 実 か ら,鉄 鉱化 作 用 は透 輝石,ザ クロ

く,透 輝 石 が これ に 次 ぐ. 石 等 の ス カ ル ン形 成 期(第8図,Stage-1)に,ス カル ン
透 輝 石 は 一 般 的 に 粒 径2mm以 下 の 自形 結 晶 を呈す る 鉱 物 の 生 成 にや や 遅 れ て もた らさ れ た もの と考 え られ
が,Stage-2の 激 しい 熱 水 性 炭 酸 塩 化作 用 に よ っ て方 解 る,し た が って,鉄 鉱 化 作 用 を もた ら した 関 係 火 成岩 は
石 に交 代 侵 食 され て い るの が 普 通 で,多 くは 完 全 に 方解 チ ン タヤ ・バ ソ リス で あ り,特 に,そ れ か ら分化 した 閃
石 に置 換 され て 交代 仮 像 とな っ て い る.原 形 を と どめ る 緑 岩 質 岩 石 との 関 連 が 深 い もの と考 え る.
透 輝 石 は 少 な い. (2)銅 鉱 化 作 用:黄 銅 鉱 斑銅 鉱 輝 銅 鉱等 の初 生銅
ザ ク ロ石 は 淡 褐 色 を呈 す る もの が 多 く,灰 ば ん ザ ク ロ 鉱 物 を生 成 せ し めて お り,特 に斑 銅 鉱 輝銅 鉱 の 多 い の
石 寄 りの 組 成 の も の が 多 い よ うに 見 受 け られ,粒径5 が 特 徴 であ る.こ れ らの 初 生銅 鉱 物 は,透 輝 石,ザ クロ
mm以 下 の 自形 な い し半 自形 を示 す こ と が 多 い.ま た部 石 等 の ス カ ル ン鉱 物 や磁 鉄 鉱 等 の 結 晶粒 間 お よ び割 れ 目
分 的 に は透 輝 石 と同様 に炭 酸 塩 化 作 用 に よ っ て,方 解 石 を充 填 して 晶 出 して い る.特 に炭 酸 塩 化 作 用 の影 響 に よ
に 置 換 され て い る もの も見 られ る が,炭 酸 塩 化 は透 輝 石 り磁 鉄 鉱 か ら変 質 生 成 した赤 鉄鉱 を切 っ て 生成 して い る
に 比 較 して は る か に 劣 る. もの が 多 く見 られ る.こ の ほ か,炭 酸 塩 化作 用 に よ る方
こ の よ うに透 輝 石 お よ び ザ ク ロ石 を主 とす るス カ ル ン 解 石 の 周 辺部 や,よ り後 期 の 方解 石 一 石 英 脈 に も伴 っ て
鉱 物 は そ の 生成 の 後,強 い 熱 水 性 炭 酸塩 化 作 用 を蒙 っ て 多 量 に 晶 出 して い る.こ れ らの事 実 か ら,銅 鉱 化 作 用 は
い る が,透 輝 石 お よ び ザ ク ロ石 の 方解 石化 の程 度 は,鉱 前 述 のStage-1の ス カ ル ン 化 作 用 お よ び 鉄 鉱 化作 用 の
液 のCO2ガ ス 分 圧 に 対 す るそ れ ぞ れ の 鉱 物 の 抵 抗 の差 後,し ば ら く して,活 動 した 酸 性斑 状 岩 類 の貫 入 に伴 っ
異 を反 映 し て い る よ うに 思 わ れ,化 学 的 に 移 動 し易 い て もた ら され た もの で,初 生銅 鉱 物 は熱 水性 炭 酸 塩 化 作
Mg成 分 を持つ 透 輝 石 の方 が よ り強 い 交 代 を受 け た もの 用 お よび 珪化 作 用 に 引続 い て形 成 され た もの と考 え て い
と考 え られ る. る.
8.3鉱 化 作 用 と関 係 火成 岩 8.4鉱 石鉱 物 と銅 鉱 化 作 用 の特 徴
コ ロ コ ワイ コ南 部 ス カル ン帯 に は,時 期 を異 にす る と
鉱 石 鉱 物 と して は,(1)鉄 鉱 物,(2)銅 鉱 物 お よ び(3)その
み られ る2種 類 の顕 著 な鉱 化 作 用,す な わ ち,(1)早 期 の ほ か の 鉱 物 に 分 け られ る.

第9図 岩 石の 顕微鏡 写 真
(1)
:斑 状 石 英 モ ン ゾ ニ 岩(por-r(B)).斜 長 石 ・カ リ長 石 斑 晶 は 絹 雲 母 化 ・炭 酸 塩 化(方 解 石 化),石 基 は強 い珪 化 を う
け て い る.OM-33,355.50m,鉱 床 内 部.直 交 ニ コ ル.
(2):強 い 炭 酸 塩 化 を う け た 透 輝 石 一 ザ ク ロ石 ス カ ル ン.透 輝 石 は 完 全 に,ザ ク ロ石 は 一 部 分 方 解 石 に 交 代 さ れ て い る.
OM-24,306.40m.直 交 ニ コル.
(3)
:透 輝 石 を切 る脈 状 ザ ク ロ石.OM-42,336.00m,開 放 ニ コル.
(4)
:ザ ク ロ石 の 結 晶 間 隙 を 充 填 す る 方 解 石 一 石 英.不 透 明 鉱 物 は 斑 銅 鉱 で 方 解 石 に 伴 っ て い る.OM-26,335.60m.開
放 ニ コ ル.
pl:斜 長 石,qz:石 英,kf:カ リ 長 石,bt:黒 雲 母,di:透 輝 石,gt:ザ ク ロ石,cal:方 解 石,ser:絹 雲 母,OPQ:不
透 明鉱 物
第10図 鉱石 の顕 微鏡写 真
(A)
:結 晶 周 縁 部 も し く は 割 れ 目 に 沿 っ て 赤 鉄 鉱 化 せ る磁 鉄 鉱 とそ の 間 隙 を充 填 す る黄 銅 鉱OM-26 ,369.30m.
(B)
:黄 銅 鉱 を 葉 片 状 に 離 溶 し共 生 す る"帯 橙 褐 色 種"斑 銅 鉱.周
縁 部 等 が 僅 か に銅 藍 化 .OM-21,298.05m.
(C)
:黄 銅 鉱 と 共 存 す る"帯 紫 褐 色 種"斑 銅 鉱 と斑 銅 鉱 の 結 晶 周 縁 部 を深 成 交 代 す る輝 銅 鉱OM-21
,398.70m.
(D)
:"帯 紫 褐 色 種"斑 銅 鉱 を 結 晶 構 造 沿 い に 深 成 交 代 す る 輝 銅 鉱 と輝 銅 鉱 を 交 代 す る ダ イ ジ ェ ナ イ ト様 鉱 物.OM-32
,
332.50m.
cp:黄 銅 鉱,bn:斑 銅 鉱cc:輝 銅 鉱,dg:ダ イ ジ 土 ナ イ ト様 鉱 物,mt:磁 鉄 鉱ht:赤 鉄 鉱G:脈 石
36(2),1986ペ ル ー 国 コ ロ コ ワイ コ銅 鉱 床 の 探 鉱95

第9図 岩石 の顕 微鏡 写真

第10図 鉱 石 の顕 微鏡写 真
96相 沢直 人 ・冨 沢尚 明 鉱 山地質:

(1)鉄 鉱 物:磁 鉄 鉱 は,鏡 下 で は 結 晶 粒 の 大 き さ0.2 (3)そ の ほか の 鉱 物:ま れ に 輝 水 鉛 鉱 が 認 め られ る.


mm以 下 の 自形 な い し粒 状 を示 し,ス カ ル ン鉱 物 の 粒 間 鏡 下 で は 銅 鉱 物 を取 り囲 む よ う に,大 き さ0.04∼0,08
お よ び 割 れ 目 を充 填 して い る.そ して 前 述 した 通 り結 晶 mmの 葉 片状 結 晶 の集 合体 と して 晶 出 して い る.ま た,

周縁 部 か ら(と きに は 割 れ 目に 沿 っ て),後 の 炭 酸塩 化 作 石 英 一 方 解 石 脈 に 伴 って も産 出 す る.

用 に よっ て赤 鉄 鉱化 して い る もの が 多 く見 られ る.こ の 黄 鉄 鉱 は 銅 鉱 床 主 要 部 では 極 くわ ず か しか 認 め られ な
ほ か磁 鉄 鉱 に 伴 っ て,若 干 の 初 生 赤 鉄 鉱 が 認 め られ る. い が,銅 鉱 化 周 縁 部 お よ び銅 鉱 化 末 期 の 粘 土 化 帯 や 断 層

(2)銅 鉱 物:黄 銅 鉱 は 粒 径0.1∼0.5mmの 不 規則 な 帯 に は 白鉄 鉱 と共 に比 較 的 多 く見 られ る.


外形 で,ス カ ル ン鉱 物 お よび磁 鉄 鉱 結 晶 の 粒 間 お よび 割 8.5銅 品 位 と金 ・銀 の 分 布
れ 目 を充 填 して い る.共 生 して よ く見 られ る黄 銅 鉱 と斑 現 在 ま で の とこ ろ,顕 微 鏡 観 察 に よっ て も,金 お よび
銅 鉱 との 関 係 は,全 体 と して は,黄 銅 鉱 が よ り早 期 に 晶 銀鉱 物 は認 め られ て い な い.し か し銅 品 位 に 基 づ く鉱 量
出 を始 め た もの と考 え られ るが,多 くは ほ ぼ同 時 期 に 晶 計 算 範 囲(パ ネ ル 法)の 分 析 用 ボ ー リ ン グ コア ー 試 料(2

出 して い る.黄 銅 鉱 中 に は 高 温 生 成 を暗 示 す る星 状 閃 亜 m毎)を,数 件 づつ ま と め た 複 合 試 料193件 の 金 ・銀 分

鉛 鉱,葉 片 状 キ ュー バ 鉱 等 の 離 溶 産 物 は認 め られ な い. 析 の 結 果,金 ・銀 は鉱 化 帯 全 体 に分 布 して い る こ とが 判
斑 銅 鉱 は粒 径0.1∼0.4mm,外 形 不 定 で,鏡 下 の 色 調 明 し,埋 蔵 鉱 量:品位Cu2.924%に 対 し て,Au0.26g/t,
か ら2種 類 に 区 別 され る.す な わ ち,1つ は帯橙褐色種 Ag9.4g/tが 得 られ て い る.銅,金,銀 の 品位 間 の 相 関

で あ り,他 は帯 紫 褐 色 種 で あ る.帯 橙 褐 色 種 は多 くの 場 性 を193件 の分 析 結 果 を用 い て検 討 した と こ ろ,銅― 金,


合 単 独 で 産 し,稀 に長 く伸 びた 紡 錘 状 黄 銅 鉱 を析 出 して 銅― 銀 お よ び 金― 銀 の 相 関 係 数 は,そ れ ぞれ0.52,0.71
い る.こ れ に対 し,帯 紫 褐 色 種 は,輝 銅 鉱 と格 子 状 に共 お よび0,47で,銅― 銀 は 比 較 的 高 い 相 関 性 を示 した が,

生 す るか,輝 銅 鉱 に よ り結 晶 周 縁 部 か ら交 代 され て い 銅― 金 お よ び 金― 銀 につ い て の相 関 性 は低 い こ とが わ か
る.研 磨 片 を長 く空 中 に放 置 した場 合,帯 橙 褐 色 種 は表 っ た 、 さ らに,金,銀 の濃 集 と銅 鉱 物 との 関 係 に つ い て

面 が 変 化 し に くい の に対 し,帯 紫 褐 色 種 は変 化 を受 け易 検討 を進 め た とこ ろ,次 の よ うな傾 向 が認 め られ た.


い.両 種 は若 干 組 成 を異 に して い るの で あ ろ う. (1)金 の 分 析 品 位 は<0.1g/tか ら1.3g/tの 範 囲であ
初 生 輝 銅 鉱 は,鏡 下 で 白色 を呈 し,一 般 的 に は帯 紫 褐 っ た.主 鉱 体 のC鉱 体(第7図)で は,金 品位 は シ ー ト

色 斑 銅 鉱 と格 子 状 共 生 を示 す か,こ の斑 銅 鉱 の結 晶学 的 状 貫 入 の酸 性斑 状 岩 の上 盤 近 く と,下 盤 の 頁 岩 層 に 接 す
方 向 沿 い に,も し くは 周 縁 部 に 深 成 富 化 作 用(hypogene る鉱体 の最 下 底部 で 高 く,上 部 へ 向 っ て劣 化 す る.ま た
enrichment)に よ って 交 代 生 成 して い る こ とが 多 い. 上部 のB鉱 体 で は 全 体 に 中 程 度 の 品位 を示 す.
この よ うに銅 鉱 化 作 用 は早 期 よ り後 期 へ 徐 々 に銅 成 分 (2)金 品位 の 分 布 と銅 鉱 物 との 関係 は,金 の 高 品 位 部
に 富 ん だ鉱 物 へ と移 化 す る よ うに進 行 して い る. に は 黄銅 鉱 ま た は斑 銅 鉱 が優 勢 で,輝 銅 鉱 は 少 ない か,

以 上 の 主 要3銅 鉱 物 の量 比 は鏡 下 の観 察 で は,ほ ぼ斑 欠 く.
銅 鉱 ≧輝 銅 鉱(含 ダ イ ジ ェ ナ イト 様 鉱 物)>黄 銅鉱 であ (3)銀 の 分 析 品 位 は くig/tか ら74g/tの 範 囲 であ っ
る,な お,選 鉱 試 験 に よ っ て銅 精 鉱 中 に砒 四面 銅 鉱 の存 た.そ の 高 品 位 部 は 輝 銅 鉱 の 優 勢 なC鉱 体 上 部 とB鉱

在 が 認 め られ て い る が,そ の産状 につ いては不 明 であ 体 に ほ ぼ一 致 して 分 布 す る.


る. 8.6地 質 構 造 規制
こ の ほ か,2次 銅 鉱 物 と し て,銅 藍 が 初 生 銅 鉱 物 の 外 ス カ ル ン帯 の 分 布 は,石 灰質 岩 を上 部 層 と し,頁 岩 ・

縁 部 お よ び 割 れ 目沿 い に 認 め られ る が,量 的 には少 な 珪 岩 を下部 層 とす る堆 積 岩 類 の 分 布範 囲 内に 限 られ て い


い. る.ス カ ル ン化 作 用 は堆 積 岩類 を取 り囲 む閃 緑 岩 質 岩 体

鉱 石 鉱 物 か らみ た銅 鉱 化 作 用 の特 徴 と して は,黄 銅 鉱 の形 態,堆 積 岩 の 層 理 面,石 灰 質 岩石 の成 分 変 化,石 灰


の ほ か に比 較 的 多量 の 初 生斑 銅 鉱 ・輝 銅 鉱 の 産 出 が挙 げ 質 岩 石 中 の 割 れ 目等 に支 配 され て い る が,特 に下 部 の 頁
られ る が,こ の種 の鉱 床 に しば しば 存 在す る磁 硫 鉄 鉱, 岩 と接 す る盤 際 の 石 灰 質 岩 石部 分 に お い てそ の 内部 構 造

閃 亜 鉛 鉱 等 は 肉 眼 的 に も鏡 下 で も全 く見 い だ され ず,黄 と コ ン コー ダ ン トに 著 し く発達 して い る.

鉄 鉱 も鉱 床 主 要 部 では 極 くわ ず か しか 認 め られ な い.こ 銅 鉱 化 作 用 もス カ ル ン化 作 用 を規制 した構 造 に支 配 さ


の こ とは コ ロ コ ワイ コ南 部 ス カル ン帯 の 銅 鉱 化 作 用 の 特 れ,既 成 の ス カ ル ン帯 お よび ス カ ル ン化 を受 け た石 灰 質

徴 を示 して い る.す な わ ち,銅 鉱 化 を もた ら した 初 生 鉱 部 分 に 選 択 的 に 作 用 した もの と考 え られ る.銅 鉱 化 作 用


液 はCO2ガ ス 分 圧 が 高 く,か つCu成 分 に 富 む が,Fe を もた ら した 酸 性 斑 状 岩 類 の 多 くはNW-SE走 向,SW
成 分 に 乏 しい よ うな もの であ った ろ うと推 定 され る. 傾 斜 でス カ ル ン帯 下 盤 に シ ー ト状 に 貫 入 して い るが,―
36(2),1986 W

Nペルーコロコワイコ銅鉱床の探鉱

第11図 コ ン ピ ュ ー タ 計 算 に よ るCu品 位 平 面 図(3,710mL(左),3,794mL(右))


98相 沢 直人 ・冨沢 尚 明 鉱山地 質:

部 は 上 部 お よ び地 表 へ 向 う急 傾 斜 の岩 脈 状 の形 態 を呈 し
て い る.埋 蔵 鉱 量 の 約80%を 占 め るC鉱 体 で は,第7

図 の 鉱 画 断 面BS,BS/S1,S1に 見 られ る よ うに,シ ー ト
状 酸 性 斑 状 岩 類 の 上 盤 沿 い に顕 著 な銅 富 鉱 部 が存 在 して (5)両 手 法 に よ る鉱 量 ・品位 の 差異:三 角 網 フP一 法
い る.ま た 鉱画 断 面S1,S2に 見 られ る よ うに,下 盤頁 は パ ネ ル法 に 対 し,鉱:量 比 で4.4%減,品 位 比 で1.4%減
岩 との 盤 際 に も銅 富 鉱 部 が存 在 して い る. を生 じた.こ の 主 た る原 因 は,カ ッ トオ フ品 位 の 取 り

方,体 積 計 算 法 の相 違,酸 性斑 状 岩 類 の 除 き方,鉱 体 の


9.探 鉱 の成果
っ な ぎ方 の 相違 が挙 げ られ る.
9.1獲 得鉱量 9.2コ ロ コ ワ イ コ銅 鉱 床 に対 す るF/Sの 概要
南 部 ス カ ル ン帯 にお け る変 形50×54mグ リッ ドの 地 昭 和59年 度 に お い て 埋 蔵 鉱 量15,224,9601(Cu品 位
表 ボ ー リ ン グコ ア ー の 分 析 値 を使 用 し,パ ネ ル 法 お よび 2.sa%)を 稼 行 対 象 と し,操 業 度3,000t/日(年 間
三 角 網 フ ロ ー 法 に よ っ て,そ れ ぞ れ 埋 蔵 鉱 量 を計 算 し 900,000t),坑 内掘 ・残 柱 式 機 械 化 カ ッ トア ン ドフ ィ ル
た. 法 お よ び全 泥Cu単 一 浮 選 法 を採 用 して鉱 山 開発 計画 を
(1)サ ン プ リ ング と分 析:ボ ー リ ング コ ア ー をス プ リ 立 案 し,企 業 化 評 価 を行 った 結 果,損 益 分 岐 銅 価 と して
ッタ ー で半裁 し,穿 孔 長2m毎 にCu分 析用 試 料 とした . 103,3セ ン ト/ポ ン ドが得 られ た(海 鉱 発 ペ ル ー ,1985).
Cu分 析 は 主 に ミネ ロ ・ペ ル ー の セ ロ ・ベ ル デ 鉱 山,一 この こ とか ら,今 後 の 企 業 努 力 に よ る収 益 性改 善 の 可 能
部 を リマ 市 民 間 分 析 所 で実 施 した.Au,AgはCu品 位 性 は 多 と しな が ら も,当 面 す る低 水準 の 金属 価 格 で は,
に よ る鉱 画 範 囲 内 のCu分 析 試 料1な い し6個 をま と め 直 ち に 開 発 に 移 行 す るこ とは 困難 と判断 さ れ た.
た 混 合 試 料193個 を 日本 で分 析 した. 本 鉱 山 開 発 計画 に は 多 く の 前 提 条 件 を 設 定 して い る
(2)鉱 石 比 重:9本 の ボ ー リ ン グ コア ー よ りC鉱 体の が,今 後 これ ら諸 条件 の見 直 しを行 うこ とは勿 論,起 業
各種 鉱 石121個 に つ い て実 測 し,加 重平 均 比 重3.2を得 た. 費,操 業 費削 減 の 可能 性 の追 求 お よ び既 存 鉱 床 周 辺 地 域
C鉱 体 は埋 蔵 鉱量 の 約80%を 占 め るこ とか ら,こ れ を鉱 の ポ テ ンシ ャル の確 認 一 埋 蔵 鉱 量 増 加 に 伴 う増 産 効 果 等
床 の 平均 比 重 と した. につ い て検 討 す る必 要 があ る と考 え てい る.
(3)パ ネ ル法 に よ る埋 蔵 鉱 量 計 算:鉱 体 の範 囲 を 各地
10.コ ロ コ ワ イ コ ・プ ロ ジ ェ ク トの 今 後
質 断 面(パ ネ ル)上 で,Cu1%以 上 を 目途 と した 着 鉱 ボ
ー リン グ孔 間(一 部 ダ ミー ・ホ ール を含 む)お よ びそ の外
10.1鉱 量 増 加 に よ るス ケ ー ル メ リ ッ トの期 待
側 に25m拡 げ た 範 囲 の2つ に 分 け,前 者 を試 錐 間 鉱 昭 和59年 度:に実 施 さ れ たF/Sで の 損 益 分 岐 銅 価 は,
画 後 者 を周 辺 鉱 画 と し て計 算 した(第7図).た だ し, 現 今 の銅 金属 価 格 水準 を大 幅 に上 回 っ て い る が,将 来 事
鉱画 内 に 貫 入 して い る酸 性 斑 状 岩 類 は 除 い た.ま た 周 辺 態 が 好転 した場 合 の 開発 へ の移 行 を想 定 し,目 下 収 益 性
鉱画 の 外 側 部 分 の 品 位,着 鉱 幅 は,内 側 着 鉱 ボ ー リ ン グ の 改 善 対 策 が種 々 検 討 され て い る.こ の うち で,特
の それ ぞ れ1/2に 設 定 した . に"埋 蔵 鉱 量 の 増 加 を計 り,そ れ に 基 づ く増 処 理許 画"が

建 設 費 お よ び操 業 費 を相 対 的 に 低 減 させ る最 も効 果 的 な
要 素 で あ る と認 識 され て い る.し た が っ て 今 後 い か に し
て能 率 的 に 既 知 鉱 床 の 近 傍 で 埋 蔵 鉱 量 の増 加 を計 り得 る

か が,こ の プ ロ ジェ ク トの将 来 の成 否 を決 め る 最 大 の ポ
イ ン トで あ ろ う と考 え て い る.
(4)三 角 網 フ ロー 法 に よ る埋 蔵 鉱 量 計 算:昭 和59年 度 10.2既 存鉱 床 周 辺 の探 鉱 余地
F/Sに 際 し,採 鉱 計 画 立 案 の 基礎 資 料 とす るた め に ,三 昭 和49年 度 の探 鉱 開始 以来,探 鉱 方針 の変 遷 に伴 い,
角 網 フ ロー(Flow)法 を採 用 し,コ ン ヒ*ー タ に よ り計 鉱 区 内 の有 望 地 域 は逐 次 精査 され,最 有 望 の ター ゲ ッ ト
算 し た.鉱 床 は5m×5m×2m(高 さ)の ブ ロ ッ ク を 計 と して,コ ロコ ワイ コ南 部 ス カル ン帯 が集 中 的 に 探 鉱 さ
算 単 位 と して集 計 され た.た だ し,酸 性 斑 状岩 類 が ブ ロ れ,そ の 結 果,潜 頭 性 高 品位 ス カル ン型 銅 鉱 床 の 発 見 ・
ッ ク の 中 心 を通 り,か つ 厚 さ が50cm以 上 の場 合お よ 確 認 をみ る に至 った.南 部 ス カ ル ン帯 に 胚 胎 す る コ ロ コ
び鉱 体 別 最:外側 着 鉱 ボ ー リン グ か ら延 長 方 向25m以 遠 ワイ コ銅 鉱 床 は,す でに37本 の 地 表 ボ ー リ ン グに よ りほ
の ブ ロ ッ クは 鉱 量 か ら除 外 した。 なお,第11図 に12個 の ぼそ の 全 容 が 明 らか に され て お り,し た が っ て 今 後,本
単 位 ブ ロ ック を ま と めた 平 面 鉱 画 図 を示 す, ス カ ル ン帯 に お い て は 大 幅 な 鉱 量増 加 の 可能 性 は考 え難
36(2),1986ペ ル ー 国 コ ロコ ワ イ コ 銅 鉱 床 の 探 鉱99

い. そ の 結 果,遂 に コ ロ コ ワイ コ南 部 ス カ ル ン帯 に お い て,
一方 潜 頭 性 高 品 位 スカ ル ン型 銅 鉱 床 の発 見 に 成 功 し,獲 得 鉱
,7.4で 述 べ た 通 り,精 密 探 鉱 が 南 部 ス カ ル ン帯
に 集 中 され る過 程 で,同 ス カ ル ン帯 に ほ ぼ北 接 して コ ロ 量15,224,960t,品 位Cu2.88%と い う予 想 を上 回 る 大
コ ワイ コ北 部 ス カ ル ン帯 の 存 在 が す で に 地 質 調 査,IP きな 成 果 を挙 げ る こ と が で きた.

探 査(応 答 体 モ デ ル),2本 の 構 造 ボ ー リ ング等 の デ ー タ しか しな が ら,昭 和59年 度 に 実 施 され たF/Sの 結 果,

解 析 に よ りお お よそ 知 られ て い た.し か しな が ら,昭 和 現 今 の 低 水 準 の 金 属 価 格 で は,直 ち に 開 発 に 移 行 す る こ

51年 度 の 探 鉱 方 針 で南 部 ス カ ル ン帯 に ボ ー リン グ探 鉱 が とは 難 しい と判 断 され た.未 探 鉱 の ま ま 残 され て い る コ

集 中 され た た め,北 部 ス カ ル ン帯 に 対 して は,昭 和51年 ロ コ ワイ コ北 部 ス カル ン帯 に対 して,ボ ー リ ン グ探 鉱 を

以 降 現 在 ま で ボ ー リ ング が 全 く実 施 され な い(第6図). 実 施 す る こ と に よ っ て,埋 蔵 鉱 量 を増 加 せ し め,こ れ に

10.3北 部 ス カル ン帯 の ポ テ ン シ ャル 基 づ く増 産 効 果 等 で収 益 性 の改 善 を計 るべ く事 態 の 好 転

前 項 よ うた,北 部 ス カ ル ン帯 は 南 部 ス カル ン帯 と同 様 を待 って い る現 状 で あ る.
の,潜 頭 性 ス カ ル ン型 銅 鉱床 胚 胎 の 可 能 性 が 高 い と期 待 謝 辞:本 稿 発 表 の 機 会 を与 え られ た 海 外 鉱 物 資 源 開 発

され る場 所 で あ る. (株)平 塚 保 明 社 長,本 プ ロジ ェ ク ト推 進 に 適切 な 指導 を頂

北 部 ス カル ン帯 の 規 模 につ い て は,各 測 線 で想 定 され い た 同 金 子 正 男 顧 問(海 鉱 発 ペ ル ー(株)前


社 長)お よび 海 鉱

て い るIP応 答 体 モ デ ル を繋 い だ平 面 的 な 拡 り を南 部 ス 発 ペ ル ー(株)元
社 長 公 荘 惟 成 氏 に 深 く感 謝 す る.

カル ン帯 と比 較 すれ ば,北 部 ス カル ン帯 は南 部 ス カ ル ン 本 プ ロ ジ ェ ク トは 出資 制 度 第1号 事 業 で,金 属 鉱 業 事

帯 の 約70%程 度 とな り,可 能 性 と して1,000万t級 の鉱 業 団 か らは 本 稿 発 表 に つ い て 快 諾 を得 る と共 に,G-G

床 賦 存 が期 待 され る(第5図).さ らに,南 部 ス カル ン帯 調 査 デ ー タの 使 用 許 可 を頂 い た.ま た 民 間 側 出資 者,住

と同程 度 の銅 品位 が確 認 され れ ば,コ ロコ ワイ コ地 域 全 友 金 属 鉱 山(株),三井 金属 鉱 業(株),三菱 金 属(株),同和 鉱 業

体 で の埋 蔵 鉱 量 は 著 し く増 加 し,増 処 理 に よ る収 益 性 の (株)
,日 本 鉱 業(株)およ び古 河 鉱 業(株)の6社 に は探 鉱 過 程 に

改 善 の効 果 が 期 待 され る. お い て種 々技 術 的助 言 を頂 い た.厚 くお 礼 申 し上 げ る

.地 質 調 査 所 前 所 長 沢 俊 明 博 士 に は探 鉱 初 期 に お い
11.結 語
て,顕 微鏡 観 察 の ほ か探 鉱 に 関 す る有 益 な る ご助 言 を頂
ペ ルー 国 コ ロ コ ワイ コ地 域 は,昭 和46年 度 か ら同48年 い た.ま た 本稿 を草 す るに 当 り,東 北 大 学 元 教 授 山 岡 一

度 に わ た り,日 本 ・ペ ル ー 両 国 間 の技 術 協 力 に よ る資 源 雄 博 士 に は顕 微鏡 観 察 お よび 種 々 ご助 言 を頂 き,さ らに

開発 協 力 基 礎 調 査(G-G調 査)に よ っ て,銅 鉱 床 胚 胎 有 原稿 の 校 閲 を賜 っ た.お 二 人 に 対 し て は銘 記 して深 謝 の

望 地 域 と して 抽 出 され た.そ の 後 ペ ル ー 政 府 か らの 要 望 意 を表 す る.

もあ り,同 地 域 に 設 定 され た 国家 特 別鉱 区 に 対 し,昭 和 最 後 に,10年 間 以 上 の 長 期 に わ た る本 プ ロジ ェ ク トに


49年 度 よ り海 外 鉱 発 が 日本 側 民 間 を代 表 して ペ ル ー 側 ミ 関与 さ れ,事 業 の 推 進 に ご助 力 頂 い た 社 内 外 関 係 者 名

ネ ロ ・ペ ル ー との 共 同探 鉱 を 開始 し,昭 和58年 ま で に コ 位,お よび 現 場 で の 探 鉱 遂 行 に 多 大 な助 力 を頂 い た ミネ


ロ コ ワイ コ南 部 ス カル ン帯 に お い て潜 頭 性 高 品 位 ス カ ル ロ ・ペ ル ー の 技 術 者 諸 氏 に対 して,本 稿 発表 の 機 会 に

ン型銅 鉱 床 を発 見,同 ス カ ル ン帯 に 対 す る地 表 か らの ボ 感謝 の 意 を表 す る次 第 で あ る.
ー リ ン グ探 鉱 は ,ほ ぼ終 了 した.
文 献
探 鉱 の 初 期 段 階 で は,特 別鉱 区 に 西 接 す るケ チ ュ ア 銅
鉱 床 タイ プの 細 脈 網 状 鉱 染 型 銅 鉱 床 を探 鉱 の 第1目 標 と BELLIDO,
E. B., DE MONTREUIL, L. and GIRARD,D. P. (1969):
Aspectos generales de la metalogenia del Peru. Servicio de
して,鉱 区 内 数力 所 で 同型 鉱化 示 徴 帯 を精 査 し,地 表 ボ
Geologia y Mineria, Peru.
ー リン グ を実 施 した が ,当 初 の 期 待 に 答 え る よ うな 結 果
海 鉱発 ペ ル ー(株)(1985): ペ ル ー共 和 国 コ ロ コ ワイ コ銅 鉱床
は得 られ なか った,し か しな が ら,コ ロ コ ワイ コ地 域 で 企 業化調 査 開発 計画 書.
国 際協 力事 業 団 ・金 属 鉱業 事 業 団(1974): ペ ル ー共 和 国ヤ
構 造 ボ ー リン グ に よ り地 下 深部 に わ ず か に 得 られ た 銅 鉱
ウ リ地 区鉱 物 資源 開発 基 礎調 査 第3年 次 報告書,同 総
化 ス カ ル ン の存 在 に 注 目 し,以 降 徐 々に 探 鉱 目標 を ス カ 括 報告 書.
ル ン型 銅 鉱 床 に移 した.す な わ ち,地 表 地 質 精 査 に よ る NOBLE, D. C., MCKEE, E. H., EYZAGUIRRE, V. R. and MAROCCO

, R. (1984): Age and regional tectonic and metallogenetic


地質 構 造 解 析,地 表 磁 力探 査 を鋭 意 実 施 す る と同 時 に,
implications of igneous activity and mineralization in the
既 存 デ ー タ,特 にIP探 査 結 果(IP応 答 体 モ デ ル)を 再 吟 Andahuaylas-Yauri Belt of Southern Peru. Econ. Geol.

味 す るこ とに よ っ て,潜 頭 性 ス カ ル ン鉱 化 帯 に対 す る探 79, 172•`176.

PONZONI, E. S. (1980): Metalogenia del Peru. Instituto


鉱 指 針 を打 出 し,地 表 ボ ー リン グに よ る追 跡 を行 っ た.
100相 沢 直 人 ・冨 沢 尚 明 鉱 山 地 質:

Geoloeico Minero y Metaluraico. Lima. Peru, 59, 153•`174.


SANTA
CRUZ,S., GUERRERO, T., CASTILLA, F. and CARO, E. (1979): 吉 川 恵 章 ・坂 井 茂 ・佐 藤 弘(1976): ペ ル ー ・ケ チ ュ ア
Geologia de yacimientos de cobre en "Skarn" en la region 鉱 床 の 発 見 お よ び そ の 特 徴 に つ い て.鉱 山 地 質, 26(2),
sur-oriental del Peru. Boletin de la Sociedad Geologicadel 143∼152.

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